米国債投資と欧州債投資
▣ 米国債投資は売り越し継続、ドイツ債、フランス債は買い越し
財務省が4月9日に発表した「対外及び対内証券売買契約等の状況」によると、株式・投資ファンド持分は、適温相場を反映して2017年度は10兆円強の買い越しとなり前年度から増加した一方、中長期債については4兆円強の買い越しにとどまり、前年度から大きく減少しました(図表1)。
2月までの地域別の売買状況では、各国政府や政府機関などが発行・保証するソブリン債については、米国債投資が昨年10月以降、売り越しが続いた一方、ドイツ債、フランス債は今年1月、2月と買い越しに転じています(図表2)。
米国債投資の売り越しについては、減税などによる財政悪化懸念や利上げ加速観測などから長期金利が大きく上昇したことに加え、
- 為替をヘッジしないオープン外債については、米利上げ局面にもかかわらず、ドルがやや軟調に推移していることから、ドルの下落が警戒されたこと
- 為替をヘッジするヘッジ外債については、為替リスクを回避するためのヘッジコスト(費用)が高いため、為替ヘッジして投資する際の利回りが低くなってしまうこと
などが、主な理由として挙げられます。
▣ ユーロはヘッジプレミアム
他方、ユーロ圏については、マイナス金利を導入しており、短期金利は日本を大きく下回るマイナスとなっています。ユーロ円は、ドル円とは逆に為替をヘッジする際には2国間の金利差分を受け取ることができる(ヘッジプレミアム)ことから、ドイツ債、フランス債投資については、国内債よりも利回り面での上乗せが期待できます。
また、欧州中央銀行(ECB)は現在、マイナス金利政策とともに、資産を買い入れる量的緩和政策を行っています。ECBは、今年の9月までは月間300億ユーロの資産を買い入れる方針ですが、少なくとも年内には量的緩和政策を終了するとの見方が強まっています。その後は、非常に緩やかな利上げ局面となることが想定されます(図表3)。ユーロは金利との連動性が高く、緩やかな金融緩和の縮小局面ではユーロが強含むことが見込まれます(図表4)。
▣ 米国債(為替ヘッジあり)は対象外となりそうですが
利回り水準で並べると、米国債(為替ヘッジなし)>欧州債(為替ヘッジあり)>欧州債(為替ヘッジなし)>米国債(為替ヘッジあり)の順。
米国債については、為替ヘッジありは投資の対象外ですが、2年債の利回りでも2.4%前後、3年債利回りは2.5%程度と相対的に高い水準(図表5)。ドイツ債との10年債利回りの格差は、2000年以降で最も高い水準まで拡大しています。
為替の安定が前提ですが、2、3年の期間の投資であれば、2、3年債への投資、さらに米長期金利の上昇が限定的とみれば、もう少し長めの米国債への投資も検討できそうです。
他方、欧州債投資については、2005年12月~2007年6月にかけての利上げ局面では、ユーロ高が収益に寄与しました(図表6)。ドイツ債、フランス債については、ヘッジ外債だけでなくオープン外債も検討できそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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