緩やかな米利上げペースも、来年のタカ派を警戒
▣ 利上げペース加速への懸念が後退
米連邦準備制度理事会(FRB)は、12月12、13日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、大方の予想どおり、フェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25ポイント引き上げ1.25~1.5%とすることを決定しました。今年は3回の利上げとなり、昨年12月のFOMCの政策金利見通しに一致しました。
併せて公表された経済見通しでは、成長見通しは引き上げたものの、インフレ見通しはほぼ変わりませんでした(図表1)。また、政策金利見通しでは、来年3回利上げも変わらずで、景気拡大の中、緩やかな利上げペースが続く見通しです。
今回、エバンズ・シカゴ連銀総裁とカシュカリ・ミネアポリス連銀総裁が政策金利の据え置きを主張し反対票を投じたこと、また来年の利上げ回数が3回で9月から変わらなかったことなどから、利上げペースが加速するとの懸念が後退し、米長期金利は低下、ドルも下落する動きになりました。
▣ 市場が織り込む利上げ回数も低下
今回のFOMCの政策金利見通しについては、2018年は3回の利上げ、2019年は2回~2.5回(2.25回程度)、2020年は1回~2回(1.5回程度)。長期見通しは2.75%と、2020年よりも低下するとみている模様です。2020年を過ぎて政策金利がピークアウトするイメージです。
市場では、事前に来年は4回の利上げとの声も聞かれていましたが、市場での来年の利上げ回数の織り込みは、12月11日の2回が最大でした(図表2、2018年12月までの利上げ回数)。今回の見通しを受け、市場が織り込む利上げ回数がやや低下して、1.5回~2回(1.75回程度)。FRBが見通しどおり、年3回利上げする蓋然性が高まると、米長期金利などに上昇圧力がかかることも想定されます。
▣ 来年のFOMCはややタカ派寄りか
利上げ局面にもかかわらず、長期金利が上昇しないのは、前回の利上げ局面と同様(図表3)。一方、株価については、前回は上値が抑えられたのに対し、今回は程良い経済成長と緩和的な金融政策が続く“適温相場”を背景に、堅調な動きが続いています。
“適温相場”を支える来年の米金融政策については、インフレ動向に加え、パウエル新議長の下での政策運営が注目されます。
来年のFOMCでは、政策金利の据え置きを主張した、ややハト派(利上げに慎重)のエバンズ総裁、カシュカリ総裁が投票権を持つメンバーから外れ、ややタカ派(利上げに前向き)寄りのウィリアムズ・サンフランシスコ連銀総裁、タカ派のメスター・クリーブランド連銀総裁が投票権を持ちます。
また、新しいFRB理事に、米金融当局にやや批判的な著名エコノミストのグッドフレンド氏が指名されました。さらに、イエレン議長に近いダドリー・ニューヨーク連銀総裁が来年半ばに退任予定であることに加え、新しい副議長の人選も、金融政策に大きな影響を与えるとみられます。人選次第では、今年よりもややタカ派色が強まる可能性があります。“適温相場”がメインシナリオですが、米利上げペースには引き続き注意が必要です。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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