消費税増税なら物国に影響も

2017/09/28

▣ 消費税増税観測から期待インフレ率が上昇

政府は9月28日、臨時閣議で衆院の解散を決定、同日午後の本会議で衆院が解散されました。衆院選日程は来月10日に公示、22日投開票。今回の解散・総選挙で首相は、2019年10月に予定されている消費税増税の使途見直しを問うとしています。やや先の話ながら、これまで2回見送られてきた8%から10%への消費税率引き上げの蓋然性がにわかに高まった格好です。

消費税率引き上げとなれば、将来のキャッシュフローが物価の動向に連動して増減する物価連動国債(物国)も影響を受けることになります。物国が織り込む将来の物価上昇率(期待インフレ率、BEI、10年)は9月上旬に0.3%弱まで低下したものの、足元では0.4%弱まで上昇してきています(図表1)。単純に、2%の増税がすべて価格に転嫁できるとし、最長期の物国が償還するまでの10年間に案分するとBEIを0.2%押し上げることになります。もう少しBEIが上昇してもよさそうです。

▣ さらなる消費税率の引き上げも

前回の増税では、政府は2013年10月1日に2014年4月の消費税率8%への引き上げを閣議決定しました。同月10日に発行が再開した物国の織り込むBEIは0.96%から1.03%程度で推移した後、消費税率が引き上げられた4月1日には1.27%、6月上旬には1.43%弱まで上昇しました。その後は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動減や実質所得減少の影響などを背景に、BEIは弱含む動きになりました。

他方、基礎的財政収支(PB、プライマリーバランス)の黒字化目標が先送りされることは、債券市場にはややネガティブな材料であり、格下げなども懸念されます。もっとも、自民党勝利なら黒田日銀総裁の再任(退任でも強力な金融緩和継続)の可能性も高まることから、債券市場が大きく崩れることはなさそうです。

また、首相はPB黒字化目標を堅持するとしており、さらなる消費税率の引き上げが意識されてくると、BEIが上昇し、物国が一段と強含むことも想定されます。消費税率引き上げ後の景気低迷には注意が必要ながらも、日米の金融政策の方向性からは非常に緩やかなドル高・円安が見込まれることに加え、原油価格も持ち直してきています。選挙結果を確認する必要はありますが、やや長い目で見た物国への投資も検討できそうです。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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