生保の2017年度の運用計画

2017/04/27

▣ 低金利の下、クレジット物や外物で収益を確保

国内の大手生命保険会社の2017年度の運用計画が出そろいました。以下、日経QUICK、ロイター、Bloombergなどの報道を基に、運用実績、運用計画をまとめています。

2016年度の運用実績については、低金利が継続する中、国内債券は投資が手控えられ、社債などのクレジット資産や外国債券を増やす動きが継続しました(図表1)。 

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今年度の運用については各社違いがあるものの、大まかにまとめると、

  • 低金利が継続する中、国内債については、20年国債など超長期国債の利回りが1%を超えないと、投資は難しい。国債に比べ利回りの高い社債などのクレジット物への投資を検討
  • 国債の利回りが上昇すれば、外国債券から日本国債にシフト
  • 利息収入を確保するために、引き続き外国債券に投資していく方針。ヘッジコストを払って為替の変動を回避して外債へ投資するヘッジ外債は、ヘッジコストを払ってもある程度の利息が確保できる米国の社債やモーゲージ債、ヘッジコストが安い欧州の国債中心。為替ヘッジしない外債投資(オープン外債)は流動性と金利が相対的に高い米国債を中心に検討
  • ドル安・円高が進行し、ドル円が110円を大きく下回れば、オープン外債投資に動く
  • 国内株については、堅調な企業業績を背景に株価は上昇するとみているものの、積み増すかどうかはまちまち
  • 外国株式への投資についてもまちまち。ただ、世界経済が回復傾向にある中、水準次第では買い増す方向。収益性を高めるため、配当性向の高い株式への投資を検討

などが、特徴として挙げられます。

また、今後の運用については、

  • 株式や債券など伝統的な金融資産とは異なる「オルタナティブ(代替資産)投資」強化。投資対象はインフラファンドや海外クレジットファンド、プライベートエクイティ(未公開株)や上場リートなどを想定(朝日)
  • 利回り確保のため、米国の社債を中心に、信用リスクを取った運用(クレジット資産への投資)を拡大(住友)
  • 運用益を確保するため国内外の株式や低格付けで高利回りの「ハイイールド債」、インフラ・不動産関連などリスク性資産への投資を拡大(かんぽ)

など、各社それぞれ運用の高度化を図りながら収益を確保していく方針です。

▣ 相場見通しは

長期金利は0.0%中心に推移するとみているところが大半ですが、年度末には0.10%程度まで上昇するとみている生保が5社(図表2)。かんぽ生命は、長期金利の上限を0.5%としており、日銀による長期金利の操作目標の引き上げなどを想定している模様です。

米長期金利については、2%割れもありとしている生保は1社。上限も3%前後と急激な金利上昇は見込んでいません。

日経平均株価については、年度末に2万円前後を見込んでおり、堅調な動きを予想。NYダウについても、大半の生保が米景気の拡大や良好な企業業績を背景に、上昇するとみています。

ドル円については、下限を100円程度としている生保が5社ありますが、年度末は日生を除き115円~120円と、米国の景気回復や緩やかな米利上げを背景に、ドル高・円安を見込んでいるようです。

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