トランプ相場の温度差
▣ 日米株はトランプ米大統領の議会演説直後がピーク
昨年11月にトランプ氏が大統領選に勝利して以降、同氏の政策への期待などから投資家のリスク選好が広がり、いわゆるトランプラリー(トランプ相場)が続きました。
もっとも、内外の株価、長期金利、為替などの動きには温度差がみられます。米株については2月28日のトランプ大統領の議会演説の翌日がピーク(図表1)、国内株はその米株がピークをつけた翌日がピークになりました。欧州政局への不安が広がったこと、トランプ政権がオバマケア(医療保険制度改革法)の改廃に失敗し、同政権が掲げる景気刺激策の実現性について懐疑的な見方が広がったこと、フランス大統領選を控え欧州政局不安が広がったこと、シリアや北朝鮮情勢など地政学リスクへの懸念が強まったことなどが重しになったとみられます。
欧州株については4月まで上昇傾向が続きました。最高値水準で推移する米国株の割高感から、欧州株に資金が移行したことなどが、背景とみられます。
▣ 日米の金利、為替は早めにピークアウト
他方、米長期金利は米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを再開した昨年12月15日の2.6%半ばがピークで、今年3月の追加利上げ時に再び2.6%台まで上昇したものの、以降はじりじりと低下し、足元は2.2%台まで低下しています。トランプ政権の景気刺激策が後ずれするとの観測や、欧州政局への警戒、地政学リスクなどに加え、トランプ氏が「低金利が好ましい」と発言したことなどが低下要因として挙げられます。
為替については、ドル円は米長期金利に合わせて昨年12月半ばに118円台まで上昇しました。年明けまでもみ合った後、ドル安地合いに転じました。4月に入り地政学リスクなどを背景に逃避通貨とされる円を買う動きが強まり、108円台前半まで下落しました。
東証REIT指数については、トランプ相場で投資家のリスク選好が強まったことは押し上げ材料ですが、長期金利が上昇したことが重しになり、1月上旬にピークアウトしました。
最近は、欧米株についてはやや軟調な地合いが続いていますが、日本株やドル円、日米の長期金利などには一旦下げ止まりの動きがみられます。高値からの下落が大きかった東証REIT指数については、他に比べ戻りも大きくなっています。
▣ 米長期金利が以前のレンジに戻るとすると
ちなみに、日本株との連動性が高く、日本の長期金利への影響が大きい米長期金利が、地政学リスクなどが高まる前の2.3%~2.5%に戻ると仮定します。この水準に戻った場合には、ドル円は112円~115円、日経平均株価は1万8,600円~1万9,200円程度。国内の長期金利については0.03%~0.07%、東証REIT指数は米長期金利との連動性は高くありませんが、1,800ポイント~1,810ポイントと試算されます。
あくまでも、フランス大統領選で、欧州連合(EU)に好意的な候補が勝利すること、北朝鮮情勢の緊張が緩和することなどが前提になります。
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