トランプ・リスクで急落
▣ トランプ氏の勝利が確実に
注目された米国大統領選は、事前の民主党のクリントン氏優勢との見方を覆し、共和党のトランプ氏の当選が確実になりました。トランプ氏は政治経験に乏しく、政権運営や政策に対する不透明感が強いことから、リスクを回避する動きが広がり、日経平均株価は前日比919.84円(5.36%)下落、ドル円は一時101円20銭まで下落しました。長期金利(新発10年国債利回り)は、一時マイナス0.085%と小幅に低下しました。
英国の調査会社はトランプ氏が大統領に就任し、同氏が掲げる急進的な経済政策を実行に移した場合、2019年の成長率はゼロ%近辺に落ち込み、国内総生産(GDP)の規模は17兆5,000億ドルに縮小するとの見方を示しています。また、保護主義的な通商政策や減税、不法移民の強制送還などが実行された場合には、世界経済の成長も阻害するとしています。
▣ 過度の警戒が後退するか
米経済の先行き不透明感が広がる中、金融市場の不安定な動きが続くと、米連邦準備制度理事会(FRB)は早期利上げに動きにくくなることから、確実視されていた12月の米利上げ観測が後退しそうです。
この米利上げ観測の後退に加え、投資家のリスク回避姿勢が強まることから、ドルが弱含むとともに、逃避通貨とされる円を買う動きが強まることも想定されます。ただ、為替介入などへの思わくが、急激な円高を抑制するとみられます。国内株については、リスク回避の動きに加え、円高の進行による企業業績への悪影響には注意が必要です。また、長期金利は、米利上げ観測の後退や逃避需要から上昇しにくくなりそうです。
米大統領選と同時に行われた米連邦議会選挙でも、上院、下院とも共和党が優勢な状況です。ただ、共和党内がトランプ氏の政策をすべて受け入れるとは限りません。また、金融やエネルギー業に対する規制緩和や個人や法人への税率引き下げなどは、米経済の押し上げ要因と言えそうです。
6月の英国の欧州連合(EU)離脱を問う国民投票で、予想外に離脱選択となったことから、国内株は7%を超える下落となりましたが、各国が政策対応に動くとの見方から、投資家心理の悪化が一服し、翌営業日には不安定ながらも持ち直しの動きになりました。
トランプ氏は、保護主義的な通商政策や移民政策などで過激な発言を繰り返してきました。当選後も過激な発言が続くのか、現実路線に軌道修正していくのか、トランプ氏や共和党幹部の発言などを確認していくことになります。
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