予想外の追加緩和見送り

2016/04/28

日銀は現状維持でネガティブサプライズ

日銀は、4月27-28日の金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決めました。ただ、金融調節方針(マネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う)、長期国債等の資産買入れ方針については現状維持でしたが、新たに、熊本地震の被災地の金融機関を対象に、復旧・復興に向けた資金需要への対応を支援するため、被災地金融機関支援オペ(貸付総額3,000億円、無利息で実施)を導入することを決めました。また、マイナス金利については、市場機能や金融仲介機能および国債市場の安定性を損ねるとして、2名の委員が反対しました。

あわせて公表された経済・物価情勢の展望(展望レポート)では、2016年度、17年度の成長見通し、物価見通しを引き下げ、2%の物価目標の達成については1月の“2017年度前半頃”から“2017年度中”に先送りしました。

27日に実施されたQUICK緊急サーベイ(日銀の金融政策予想やマーケットの反応などについて、株式・債券・外為市場関係者を対象に緊急調査)では、4月に追加緩和するとの回答が59%に上りました。今回の緩和見送りは、ネガティブサプライズとなり、株価が急落、円は上伸することになりました(図表1~4)。

政策期待、追加緩和への期待は残る

とはいえ、緊急サーベイでは年内の追加緩和との見方が9割以上となっており、今回は見送られたものの、追加緩和への期待は残ります。次の金融政策決定会合は6月15-16日。6月は14-15日に米連邦公開市場委員会(FOMC)が、23日にEU離脱の賛否を問う英国の国民投票が実施されます。米金融政策や欧州情勢をめぐり内外の金融市場が不安定になる可能性があり、日銀への期待が強まる可能性があります。また、7月に参院選を控え、景気浮揚への期待も強まりそうです。もっとも、金融緩和の限界もささやかれる中、市場の期待では日銀は動かないとの姿勢のようです。

5月は日銀への期待というよりは、1億総活躍プラン策定、G7・伊勢志摩サミット(26-27日)が予定されており、経済対策や消費増税の再延期への期待が国内の金融市場を支えそうです。6月は金融政策決定会合が予定されており、過度な期待は禁物ですが、再び日銀の追加緩和への期待が強まることになりそうです。

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