外部環境をにらみつつも、利回り志向継続か
1.2015年度も利回り志向が継続
2012年度以降、異次元の金融緩和などを背景に円安、株高が続いていた金融市場ですが、2015年度は、日経平均株価は2,448円(12.75%)下落、ドル円は7円80銭程度下落しました(図表1)。債券市場は堅調な動きが継続し、長期金利は日銀の「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」を受け、0.40%からマイナス0.05%に低下しました(図表2)。また、東証REIT指数は日銀の緩和政策が追い風になり、31ポイント(1.7%)上昇しました。
2015年度の各資産の収益率は、債券はプラス5.4%(NOMURAボンド・パフォーマンス・インデックス、総合)と好調(図表3、4)。また、東証REIT指数(配当込み)はプラス5.2%とまずまず。他方、TOPIX(配当込み)はマイナス10.8%と厳しい数字となりました。株式の価格変動リスクについても、世界経済の先行き不透明感などから2014年度と比べ倍増しました。
スタイル別※(最終行参照)でみると、バリュー、グロースではグロース、スマートベータシリーズでは、配当を重視する配当貴族指数のパフォーマンスが相対的には良好で、配当貴族指数の収益率はマイナス1.0%と小幅にとどまりました。2014年度も東証REIT指数、配当貴族指数が相対的には高パフォーマンスとなっており、配当利回り(分配利回り)重視の姿勢が継続している模様です。
2.強まる為替、米株の影響
2015年度の国内株は為替とともに米株の動きに大きく左右されました。日経平均株価の月次騰落についてみると、ドル円が影響を与えたとみられる月(ドル円上昇・日本株高、ドル円下落・日本株安)は12か月中10か月、米株が影響を与えたとみられる月(米株高・日本株高、米株安・日本株安)は12か月中11か月と前年度に比べ増えています(図表5)。米株に影響を与える要因は日本株より複雑とみられますが、ドルの動きより原油の影響が強くなっている可能性があります(図表6)。
ドル円については、米国の利上げペースが大きな影響を与えるとみられます。市場が織り込む年内の利上げ回数は、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が早期利上げに慎重な姿勢を示したことを受けやや減少し、1回程度となっています。これに対し、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利見通しは年内2回。4月の利上げの可能性は低いものの、6月もしくは7月の利上げ観測が強まると、ドルが強含む可能性があります。
原油価格については、持ち直してきているものの不透明感が強い状況です。4月17日にカタールのドーハで、石油輸出国機構(OPEC)加盟および非加盟の主要産油国が、増産凍結の最終合意に向けた会合を開く予定になっています。合意に至ればリスクオン(選好)となり、株高・円安となることも想定されます。
国内では、日銀の追加緩和、消費増税の再延期や財政出動などの政策期待が強まっていますが、2016年度も米金融政策や原油をめぐる動きなど外部環境についても注視していく必要がありそうです。
※日本取引所グループ資料より
TOPIXスタイルインデックスシリーズは、TOPIX等の構成銘柄を連結PBR(株価純資産倍率)などの指標を用いて、銘柄群をバリュー又はグロースといったスタイル別に区分した「時価総額加重型」の株価指数。
S&P/JPX 配当貴族指数は、既にグローバルで幅広く利用されているS&P 配当貴族指数ファミリーに新しく追加される指数であり、東証株価指数(TOPIX)の構成銘柄の中で、少なくとも過去10年間にわたり増配または配当維持を続けてきた銘柄のパフォーマンスを測定します。この指数は、インカム戦略を追求する日本の投資家に新たな選択肢を提供すると考えられます。
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