マイナス金利下でのポートフォリオ・リバランス
1.日銀の意図とおりイールドカーブは低下し、過去最低水準に
日銀がマイナス金利導入を決定して4週間、適用開始から約2週間が経過しました。黒田日銀総裁は、「金融市場は世界的に不安定な動きを受けて、企業コンフィデンスの改善や人々のデフレマインドの転換が遅延し、物価の基調に悪影響が及ぶリスクが増大している。こうしたリスクの顕現化を未然に防ぎ、2%の物価安定の目標に向けたモメンタムを維持するため“マイナス金利付き量的・質的金融緩和”を導入した」としています。
また、当座預金にマイナス金利を付すことでイールドカーブ(利回り曲線)の起点を引き下げ、長期国債の大量買入れを続けることによって、イールドカーブ全体が下がってくるので、資産のポートフォリオ・リバランス(日本銀行以外の主体が全体として国債保有を減らし、貸出のほか、株式・投信や社債への投資を増加させる動き)が起こり、それがまた経済の拡大にプラスに影響するとしています。
マイナス金利政策を受けたイールドカーブについては、日銀の意図どおり期間10年までの利回りはマイナス圏に、40年までの利回りについても1%を切り、過去最低を更新している状況です(図表1)。
2.ポートフォリオ・リバランスの進み具合
国内銀行の資産については昨年12月までのデータですが、国債は順調に減少する一方、外国証券については緩やかながらも増加しています。ただ、株式を増やす動きは鈍い状況です(図表2)。
国債売買動向を見てみると、2015年度は都銀の売りと外国人投資家の買いが目立っています(図表3)。ただ1月については、都銀は長期債、超長期債を大きく買い越す動きなっています(図表4)。世界的に金融市場が混乱する中、日銀の追加緩和を先取りする動きとも考えられます。今後の公社債市場は、マイナス利回りが浸透する中、比較的高いクーポン収入が見込める既発債を手放す動きが弱まることも想定されます。
株式の売買動向については、順張りの海外投資家に対し、逆張りの個人、公的年金が対抗する構図に変化はなさそうです(図表5)。ただ、ゼロ金利政策を背景に事業法人は自社株を買う動きを強まる可能性が考えられます(図表6)。事業法人の自社株買いについては、日銀の意図するポートフォリオ・リバランスと言えるかもしれません。
外国証券投資については、株式については2月に入っても買い越しが継続しています(図表7)。公社債については第2週は売り越しになりましたが、第3週は大幅な買い越しとなりました(図表8)。今後も、日銀のマイナス金利政策を背景に外債投資については拡大が継続するとみられます。
不安定な金融市場の動きが続く中、ドル円や国内株の戻りは鈍い状況で、日銀の追加緩和への期待はくすぶります。次の追加緩和については、長期国債の買入枠の拡大はマイナス金利の導入でやや厳しくなってきていることから、金利のさらなる引き下げや、ETF、Jリートの買入枠の拡大などへの期待となりそうです。
印刷用PDFはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
※本資料は、ご投資家の皆さまに投資判断の参考となる情報の提供を目的として、しんきんアセットマネジメント投信株式会社が作成した資料であり、投資勧誘を目的として作成したもの、または、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
※本資料の内容に基づいて取られた行動の結果については、当社は責任を負いません。
※本資料は、信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。また、いかなるデータも過去のものであり、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。
※本資料の内容は、当社の見解を示しているに過ぎず、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。記載内容は作成時点のものですので、予告なく変更する場合があります。
※本資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。当社の承認無く複製または第三者への開示を行うことを固く禁じます。
※本資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
しんきんアセットマネジメント投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会