急落時の底打ち水準
中国経済など世界経済の減速懸念に加え、原油安や円高などを背景に、投資家心理が冷え込み、国内株がなかなか下げ止まりません(図表1)。1月20日には日経平均株価は一時1万6,400円を割り込み、昨年来安値を更新しました(図表2)。投資家の不安心理を示す、日本版の恐怖指数とも呼ばれる日経平均VI(日経平均ボラティリティー・インデックス)は35ポイントを上回り、チャイナショックで株価が急落した昨年9月の水準まで上昇しています。
2010年以降で、日経平均VIが大きく上昇し相場が下落した局面は、今回を除くと7回程度ありました(図表3)。直前の高値から底を打つまでの期間は3週間から5か月弱とまちまち。高値から底までの下落率は、終値ベースでマイナス14.0%~マイナス22.2%でした。昨年の8月から9月にかけての急落時は18.9%の下落、また7回の平均下落率も同水準の18.9%。今回は、昨年12月1日の2万12円が直近高値となり、1月20日時点で18.0%の下落と、昨夏や過去の急落時に近い水準まで下落しています。ちなみに、18.9%の下落に対応する日経平均株価の水準は、1万6,230円。日経平均株価は一時1万6,400円を割り込んでおり、過去の急落局面を参考にすると、そろそろ底打ちしてもおかしくありません。
もっとも、中国株については大きく下落していると言っても、まだ割高な水準にあります。中国株の予想株価収益率(PER)が、急騰前の2012年~2014年10月の平均的な水準に戻るとすると、上海総合指数で2,500ポイント前後が、企業業績に見合う株価水準と考えられます(図表4)。他方、原油についても、中国経済の減速から需要増が見込めない中、制裁解除を受けイランからの原油輸出が増える見通しであり、供給過剰が続くことから、先安感は根強そうです。
外部環境が不安定な中、日銀の追加緩和への期待もくすぶります。株価との連動性の高いドル円は、2012年10月までは日米金利差の影響が強かったものの、安倍政権誕生以降は、日銀の大胆な金融緩和への期待、2013年4月の異次元の金融緩和導入(「量的・質的金融緩和」、黒田バズーカⅠ)、2014年10月の「量的・質的金融緩和」の規模拡大(黒田バズーカⅡ)で、一気に引き上げられ、国内株も大きく上昇しました(図表5)。
中国では景気刺激策への期待も出てきています。中国不安の後退や原油価格の落ち着き待ちの状況ですが、日経平均株価の予想PERは1月20日には13.7倍と14倍を下回り、昨年9月の底打ち時の水準に近づいています(図表6)。日本株の割安感が一段と強まっており、そろそろ底打ちしてもおかしくない状況です。また、不安定な環境の中、日銀のさらなるバズーカも期待したいところです。
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