ECBも0.75%の大幅利上げ
▣ 大幅利上げを決定
欧州中央銀行(ECB)は9月8日に開いた理事会で、政策金利を通常の3倍の幅となる0.75%引き上げました(図表1)。利上げ幅はECBによるユーロ圏の金融政策運営が始まった1999年以降で最大となりました。
前回7月の理事会では政策金利を0.5%引き上げ、利上げを開始しましたが、さらに積極的なインフレ退治に踏み切った格好です。
ECBは声明で、「需要を抑制し、インフレ期待が持続的に上方へシフトするリスクを避けるために、今後数回の会合で金利をさらに引き上げると予想している」と表明しました。
今回の決定を受け、独10年債利回りは1.5%台後半から1.7%台に上昇しましたが、大方の予想の範囲内だったこともあり、欧州株やユーロへの影響は限定的でした。
▣ 2023年初めまで利上げが続く可能性
理事会後のラガルド総裁の主な発言は以下のとおりです。
- インフレは依然として主に供給側の要因が大きい。金融政策でエネルギー価格を下げることはできない。
- インフレ率を2%に戻すために必要な措置を取っていく。
- 0.75%幅で利上げしていくとは言っていない。0.75%は普通ではない。
- インフレ率はわれわれの目標(2%)を長期にわたり上回ると予想され、今後数回の理事会で一段の利上げを予想する。
- 数回とは、今回を含めて2回以上、5回以下だろう。
- 高インフレが支出や生産を抑制することや、経済再開に伴う力強い需要回復が勢いを失うと予想されること、また世界的な需要減退などでユーロ圏経済への支えが弱まることなどから、年末にかけて景気が大幅に減速すると予想する。
- ユーロの下落がインフレ高進を増長している。ユーロ相場を注視している。
▣ インフレ見通しを大幅に上方修正
あわせて公表した最新の経済見通しでは、今年のインフレ率は8.1%とし、前回6月の6.8%から大幅に上方修正しました(図表2)。2023年は5.5%、2024年は2.3%としました。高インフレは来年も続くとの見方です。
一方、成長率については、2022年は3.1%と上方修正したものの、2023年は0.9%まで低下する見通しとなっています。
ユーロ圏の経済が今年の終わり頃から来年1-3月にかけて停滞するとの厳しい見方を反映した格好です。
(注)
ラガルド総裁の発言はロイター、QUICKを参照。
主要政策金利:1週間物の流動性供給(MRO、Main Refinancing Operations)を受ける際に金融機関がECBに支払う金利
中銀預金金利:金融機関がECBに余剰資金を預け入れた際に支払われる金利
限界貸出金利:金融機関が市場から資金を調達できない場合にECB(各国中央銀行)が貸付を行う際の金利
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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