米国債市場で逆イールドが発生

2022/04/06 <>

▣ 景気後退の予兆として警戒される逆イールドが発生

米国債市場では、3月31日に2年債利回りが10年債利回りを上回る逆イールド(長短金利の逆転)が発生しました(図表1)。4月5日には米連邦準備制度理事会(FRB)による量的引締め(米国債などの保有資産の圧縮)で、米国債の需給が悪化するとの懸念などから、10年債利回りが大幅上昇し、一旦逆イールドが解消されましたが、この逆イールドの発生はリセッション(景気後退)の予兆とされており、警戒する声も出てきています。

前回は、2019年3月に3か月物金利が10年債利回りを上回り、また8月には2年債利回りが10年債利回りを上回り逆イールドが発生しました。翌年3月にはコロナ禍でリセッションとなり、結果的には予兆が当たった格好となりました。

▣ 早期のインフレ抑制、政策金利のピークアウトを織り込みか

3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で公表されたFOMC参加者の政策金利見通しでは、政策金利のピークが前倒し(12月FOMCの2025年以降から、2023年末に前倒し)されるとともに、政策金利のピークの水準も2.5%から2.75%に引き上げられました。ただ、長期の政策金利見通しは2.4%で、2025年以降は利下げに転じる可能性も示唆されました。

FRBが金融引締めについて一段と積極的な姿勢を示す中、政策金利見通しがピークを迎える時期(2023年末~2024年)に償還する2年債の利回りを中心に上昇し、政策金利のピーク後の政策金利(利下げ)も織り込む長めの債券の利回りを上回ったとみられます。

FRBが高進するインフレを早めに抑制した後、政策金利がピークアウトすることを織り込んで、逆イールドになったとも言えます。

▣ ソフトランディングできれば

他方、米国の長短金利差は景況感に先行して動く傾向がみられます(図表2)。ISM(米供給管理協会)製造業景況指数は依然として高い水準ですが、低下傾向が続くと、景況感の影響を受ける株価の上値が抑えられることも想定されます。

とはいえ、FRBが今後の金融政策運営で、リセッションに陥ることなくインフレを抑制するソフトランディングにもっていけると、予兆は外れたことになります。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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