米ゼロ金利政策は一段と長期化
▣ フォワード・ガイダンスを変更
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月15、16日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を据え置くとともに、将来の金融政策の指針である「フォワード・ガイダンス」を変更しました。
声明文の主なポイントは以下のとおりです。
- 政策金利据え置き:フェデラルファンド(FF)金利の目標誘導レンジを0~25%に維持
- フォワード・ガイダンス変更:労働市場が雇用の最大化とみなせる水準に達し、インフレ率が2%に上昇して当面の間2%を適度に超えるような軌道に乗るまで、この目標誘導レンジ(現在の政策金利)を維持することが適切
- 資産買入れ継続:今後数か月にわたって、米国債および政府支援機関(GSE)保証付きの不動産担保証券(MBS)の保有を少なくとも現行ペースで増やす
- 追加緩和も辞さぬ姿勢:もし委員会の目標の達成を妨げる可能性があるリスクが生じた場合、必要に応じて金融政策スタンスを調整する用意がある
▣ 2023年末までゼロ金利政策継続
また、注目されたFOMC参加者の政策金利見通しでは、17人のメンバーのうち、13人が2023年までの政策金利の据え置きを予想しました。
あわせて公表された経済見通しでは、2020年の実質国内総生産(GDP)予想の中央値は前年同期比3.7%減と、6月の予想6.5%減から引き上げました。失業率は前回から引き下げましたが、2023年までコロナ前の水準を上回る状態(今年2月の失業率は3.5%)が続く見通しです。もっとも、2023年の失業率は4.0%まで低下し、FRBが完全雇用の水準とみる長期見通しの4.1%を下回ります。物価については、個人消費支出価格指数の上昇率(PCEデフレーター)は2022年までは2%を下回るものの、2023年に2%に達する見通しです(図表1)。
▣ 2024年にようやく利上げの環境が整う可能性
前回の利上げ時は、PCEデフレーターは2%を大きく下回っていたものの、消費者物価指数(食品とエネルギーを除くコアCPI)が2%程度、また失業率が5%前後と、FRBが完全雇用の水準とみていた4.8%~5.0%まで低下していました(図表2)。
FRBは最大雇用について、今後は「広範かつ包括的な目標」として達成するとし、失業率以外の幅広い労働条件で判断するとしています。インフレ率が2%を上回る期間によるものの、単純に失業率とインフレ率だけで判断した場合には、2024年にようやく利上げの環境が整う可能性があるとの見方ができそうです。
▣ しばらく米金利は動きにくいか
とはいえ、利上げはまだまだ先の話です。米長期金利は、今後3年間のゼロ金利政策継続を一旦織り込んだことから、さらなるゼロ金利政策の長期化観測を材料にした低下は限定的となりそうです。一方、FRBが2%を超えるインフレを容認したことから、期待インフレ率の上昇により米長期金利が押上げられるとの見方がくすぶります。とはいえ、期待インフレ率はすでにコロナ前の水準を上回るとともに、足元では一旦上昇が止まっており、インフレ期待からの米長期金利の上昇も限定的とみられます(図表3)。
米金利の動きが落ち着いてくると、日本のイールドカーブ(利回り曲線)のベア・スティープ化(利回り上昇、急こう配化)圧力も後退する可能性があります。
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