FRB、平均物価目標に変更

2020/08/28 <>

▣ 2%超のインフレを目指す

米連邦準備制度理事会(FRB)は8月27日、臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、金融政策の新たな枠組みを決めました。

米連邦準備制度理事会(FRB)には「最大限の雇用」と「物価の安定」という2つの使命があります。物価の安定については、長期的なゴールとして2%の物価上昇率を金融政策の枠組みとして採用していましたが、今回は一定期間の平均で2%を目指す「平均物価目標」に変更しました。また、物価が2%を下回ったままであれば、当面2%超のインフレを目指すとしています。

金融政策の枠組みの見直しについては、来月のFOMCで発表されるとの見方が多かったものの、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演に合わせ、前倒しで発表された格好です。

パウエルFRB議長は講演で、物価上昇率が2%を下回る期間が続いた場合には、2%を超えるインフレ期間を容認して、平均2%となることを目指す考えを示しました。

▣ 長期金利の一段の上昇は限定的か

金融緩和が、物価上昇率が2%に到達したら終了ではなく、2%を上回っても続くことから、ゼロ金利政策が長期にわたり継続するとの見方が広がりました。また、2%を超える物価上昇を容認することから、インフレ期待を高めることも想定されます。

27日には、新しい枠組みが物価上昇を後押しするとの見方などから、米10年債利回りは0.06%高い0.75%と2か月半ぶりの水準をつけました。市場が織り込む期待インフレ率もわずかながら上昇しました(図表1)。

もっとも、市場はすでに2022年末までゼロ金利政策が続くことを織り込んでいること、期待インフレ率が上昇したとはいえ、10年物インフレ連動債が織り込む期待インフレ率は1.7%半ばとまだ2%を下回っていることから、米金利の一段の上昇は限定的となる可能性が高そうです(図表2)。

とはいえ、米債券市場は物価指標や期待インフレ率の動きに一層注目することになりそうです。

 

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