イールドカーブのスティープ化は一服
▣ 3月下旬以降、イールドカーブはベア・スティープ化が進行
新型コロナウイルス感染拡大を受け、安全資産とされる国債の買いが優勢になり、3月9日には長期金利(新発10年債利回り)はマイナス0.165%まで低下しました。その後は、日銀によるマイナス金利の深掘り観測の後退や財政拡大による国債増発懸念に加え、投資家の極度なリスク回避姿勢から安全資産とされる国債についても現金化する動きが広がったことなどから、国内の金利は上昇に転じました(図表1)。
3月23日以降は金利上昇とともに、残存期間10年超でイールドカーブ(利回り曲線)のスティープ化(急こう配化、期間が長い債券の利回りほど上昇)が進んでいます(図表2)。
▣ スティープ化が進んだ要因は
10年債利回りである長期金利は、日銀のイールドカーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)により、ゼロ%程度で推移するよう長期国債の買入れを行っていることから、上昇が限定的になる一方、20年債や30年債などの超長期債の利回りは日銀の縛りが緩く、長期金利に比べ動きやすいことが、スティープ化(長期金利に比べ、20年債、30年債利回りが上昇)が進んだ一因と思われます。
加えて、令和2年度第1次および第2次補正予算を受けた今年度の国債発行計画が大幅に増額され、20年債、30年債についても発行額が増えた一方、日銀による長期国債買入れは、残存期間10年以下については買入額が増額されたものの、10年超は据え置かれたことも、超長期債利回りを押し上げたとみられます(図表3、4)。
▣ 今後の目線
超長期債の主な買い手は生保ですが、利回り低下で運用難の環境が続いていることに配慮し、日銀はイールドカーブのスティープ化、超長期債利回りの上昇を容認している模様です。7月2日には20年債利回りは一時0.45%と19年3月6日以来の高水準まで上昇、30年債利回りは0.645%と2019年1月31日以来の水準まで上昇し、0.6%台で推移する米長期金利に接近しました。
7月7日の30年国債入札は無難な結果になり、超長期債利回り上昇は一服した形になりました。日銀は無理にスティープ化を抑制することはしないと見込まれる中、今後の入札などを確認する必要はありますが、20年債利回り0.4%、30年債利回り0.6%乗せは、当面の押し目買いの目安になりそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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