GPIF、2019年度の運用状況

2020/07/07 <>

▣ 2020年1-3月期は大幅赤字も4-6月期は赤字を埋める動きに

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は7月3日、2019年度の運用状況を公表しました。2019年10-12月期までは順調に収益を積み上げていたものの、2020年1-3月期はコロナショックを受け、17兆円を超える大幅なマイナスとなり、2019年度の運用実績は8兆2,831億円の赤字となりました。
もっとも、3月下旬以降は内外の株式市場は大きく戻しており、2020年4-6月期は概算で12兆円程度の黒字になった可能性があります(図表1)。

▣ 1-3月期の売買状況

国内債券については売り越し継続、外国債券については買いが継続しました(図表2)。国内株式については四半期末時点で比べると、ここ数年はあまり動きがなかったものの、2020年1-3月期は6,000億円程度買い増しした模様です。また外国株式についてはわずかな買い越しが続いていましたが、1-3月期は5,800億円弱の買い越しと、大きく下落した内外の株式について構成割合を引き上げるためか、買い増しに動いた格好です。

▣ 足元での各資産の買い余力

基本ポートフォリオの構成割合については、今年度から変更を実施し、国内債券35%、国内株式25%、外国債券15%、外国株式25%の構成割合を、それぞれ25%としました。

今年6月末時点の試算では、国内債券の構成割合は22%程度ですが、国内債券の構成割合には短期資産と為替ヘッジ付き外国債券が算入されるため、25%を上回っているとみられます。したがって、国内債券の売りはまだ継続する可能性がありそうです。国内株式については23~24%程度まで戻っていますが、買い余力はまだ残ってはいます。

他方、外国債券については、為替ヘッジ付き外国債券を除くと6月末時点で21%程度とみられます。徐々に25%まで割合を引き上げることも想定され、買いに伴う円売り圧力は円高を抑制しそうです。外国株式については26%を上回っている可能性があり、大きくは動かないとみられます。

国内債券については引き続き、買い主体ではなく売り主体となることが見込まれることから、日銀が国債買い入れオペで債券市場を支えることになりそうです。国内株式については、積極的に買いに動く可能性が低そうです。とはいえ、1-3月期のように相場が大きく下落し、構成割合が基本ポートフォリオから乖離した局面では、低下した構成割合を引き上げるために買いに動くことも想定され、相場の下支えに寄与することは期待できそうです。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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