最近の日銀によるETF、Jリートの買入れタイミング
日銀は3月16日に、新型感染症拡大の影響を踏まえた金融緩和の強化として、潤沢な資金供給の実施、企業金融支援のための措置に加え、指数連動型上場投資信託受益権(ETF)、不動産投資信託(Jリート)の資産買入れの上限を、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800 億円に引き上げ、それまでの約2 倍のペースとなる、積極的な買入れを行うことを決めました。
もっとも、1回あたりの買入れ額については増えていますが、買いのタイミングについては大きくは変わらず、おおむね以下のようになっています。
▣ 昨年以降のETFの買入れタイミング※(図表1)
・前場のTOPIXが5%以上下落
・2営業日続落しており、且つ当日の前場のTOPIXがある程度以上下落(昨年以降では前場27%の下落が最大)
・ただし、買入れ額の累計が上限に近づいている場合は実施しない場合もある
・前営業日まで大幅に続落した場合には、前場の騰落に関係なく買入れ実施
今年3月2日は前日までTOPIXが5営業日連続で大きく下落
3 月17日は前日までTOPIXが4営業日続で大きく下落
・内外の金融市場の大きく荒れている局面での買入れ
3月19日は前場のTOPIXは1.17%の上昇だったものの、前日のNYダウが3年1か月ぶりに2万ドルを割り込み、日経平均株価が前場に0.74%の下落となるなど、不安定な相場が続く中、積極的な買入れ姿勢を示す意図か、2,004億円買入れと17日の1,204億円から増額
一方、5月22日にはTOPIXが前場に0.498%下落したものの、買入れを実施しませんでした。また、6月15日も前営業日まで4日続落だったものの、前場のTOPIXの下落率が0.11%にとどまったこと、また4日間の下落率が3.7%弱にとどまったことからか、買入れはありませんでした。
買入れ額は、2月までの700億円強から3月には2,004億円まで拡大しましたが、4月に入り1,202億円、5月13日以降は1,000億円強となっています。
荒れた相場展開になった際の例外的な買いはあるものの、日銀は基準を引き下げて買入れ頻度を増やすのではなく、主に量で柔軟に対応する模様です。
▣ 昨年以降のJリートの買入れタイミング(図表2)
・2019年1月は1回のみの買入れで基準が判別できず
・2019年2月~4月は東証REIT指数が前場に3%以上下落
・2019年5月以降は東証REIT指数が前場に5%以上下落
・東証REIT指数が2営業日続落し、当日の前場にある程度以上下落(昨年以降では前場25%の下落が最大)
・3月23日のような前営業日に東証REIT指数が10%以上下落した翌日
1回の買入れ額は、今年3月16日以前は12億円、以降は15億円、20億円、40億円まで拡大しましたが、4月に入り20億円、5月12日以降は15億円となっています。
買いを入れるタイミングの基準は変わっていないことから、買入れ頻度は大きく変わらず、ETFと同様、買入れ額を柔軟に増減することで、Jリート市場を支える考えのようです。足元では1回あたり15億円の買入れですが、市場が荒れた展開になった際には、3月のように買入れ額を大きく増やすことも想定されます。
※ETF買入れについては、毎営業日12億円買い入れている“設備投資および人材投資に積極的に取り組んでいる企業を支援するためのETF”以外を対象にしています。
※あくまでも昨年以降の実績であり、今後買入れの基準(目安)が変わる可能性があります。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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