FRB、ゼロ金利政策、量的緩和を継続

2020/06/12 <>

▣ ゼロ金利政策維持、量的緩和継続を表明

米連邦準備制度理事会(FRB)は6月9、10日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0-0.25%に据え置くことを決定しました。また、将来の金融政策の方針であるフォワードガイダンスについても、「経済が最近の出来事を乗り切り、雇用の最大化と物価安定の目標を達成する軌道にあると確信するようになるまで、この目標レンジを維持すると予想する」と、変更せず維持しました。

他方、3月に本格的に再開した量的緩和政策(資産購入による市場への資金供給)については、「今後数か月にわたって、米国債および住宅ローン担保証券(RMBS)や商業用不動産ローン担保証券(CMBS)の保有を少なくとも現行ペースで増やし、市場の円滑な機能を維持する」と表明しました。債券の買入れ額を徐々に減額してきましたが、足元の買入れペース(米国債は月800億ドル、MBSは月400億ドル購入)がしばらく続くことになりそうです(図表1、2)。

また、パウエルFRB議長は、「新型コロナウイルス危機を乗り越えるために、あらゆる手段を使って経済を支える」と、強い決意を改めて表明しました。

▣ 経済に対するFRBの見方は

5月の米雇用統計で、非農業部門の雇用者数が減少予想に反して大幅に増加したことや、失業率が上昇予想に対して大幅に低下したことを受け、米経済のV字回復への期待が広がりました。ただ、パウエルFRB議長は極めて多くの人々が前の職場に戻れず、労働市場の回復には数年かかると、慎重な見方を示しました。

FOMC参加者の経済見通しによれば、5月の失業率13.3%が、10-12月期には9.3%(中央値)へ低下し、2021年は6.5%に、2022年には5.5%に下がる見通しです。とはいえ、2月の失業率3.5%を大きく上回る水準です。国内総生産(GDP)については今年が6.5%減、来年は5%増に回復するとの見通しです(図表3)。7~9月期に経済の回復が始まるものの、コロナ前の状態に戻るのには時間がかかるとの見方です。

また、物価についても、2022年までは2%の物価目標に届かない見通しです。

▣ ゼロ金利政策はいつまで

FOMC参加者の政策金利見通しでは、2021年までは全員一致で現在のゼロ金利政策を継続、2022年についても利上げは2名のみで、大方はゼロ金利継続の見方です(図表4)。

市場ではマイナス金利導入の観測もくすぶりますが、もう一段利下げし、マイナス金利を導入する見通しのFOMC参加者はいませんでした。

▣ YCCの導入はあるか

短期金利だけでなく、やや長めの金利(国債利回り)をコントロールするイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)については、すでに日銀が導入しています。日銀は長期金利をゼロ%程度で推移するようにコントロールしていますが、FRBはもう少し短い年限の金利を対象にしたYCCを検討している模様です。パウエルFRB議長は、次回以降もその必要性を議論するとしており、もう一段の金融緩和が必要になった場合には、YCCが導入される可能性がありそうです。

▣ 緩和マネーの供給は続く

欧州中央銀行(ECB)は6月の理事会で、3月に新設した7,500億ユーロの資産購入枠を6,000億ユーロ増額し、1兆3,500億ユーロに拡大しました。買入れ期間は、少なくとも2021年6月末まで続ける方針です。日銀についても国債の買入れの上限を撤廃し、減額してきた国債買入れ額を拡大させています。

当面、日米欧などで低金利政策が続くとともに、膨大な緩和マネーが供給されることになります。緩和マネーを背景に上伸していたNYダウが、11日には前日比1,861ドル安と過去4番目の下げ幅を記録しました。行き場のないお金が株式などのリスク資産に向かっていますが、この動きが一段と加速すると、バブルへの警戒も必要になってきそうです。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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