やや不安定なJリート市場、経済再開に期待

2020/05/20 <>

▣ ホテル系リートの分配金減額を受け、やや不安定な動き

米国などで経済活動の段階的な再開が進む中、新型コロナウイルスの発生源をめぐる米中対立への懸念が一旦後退したことも手伝い、5月11日には東証REIT指数は一時約2か月ぶりに1,700ポイントを回復するなど、大型連休明けのJリート市場は堅調な動きになりました(図表1、2)。

ただ、その後はホテルを中心とするインヴィンシブル投資法人(INV)のテナント賃料免除や分配金減額の発表を受けて、分配金減額の動きが他のリート銘柄に広がることへの警戒感などから大きく値を下げ、15日には東証REIT指数は一時1,540ポイントまで下落しました。

▣ 12日にはINVは前日比22%超の下落

INVは、2020年6月期の分配金予想を1,812円としていましたが、4月に未定とし、5月11日の引け後に30円に引き下げました(2020年12月期の分配金予想は未定)。年間の分配金の下限目標としていた3,400円を維持するため、内部留保を活用し、分配金の大幅な引き下げはないとの見方だっただけに、市場にはサプライズとなった格好です。

12日にはINVは前日比22.65%の下落、他のホテル系リートであるジャパン・ホテル・リート投資法人は5.97%、いちごホテルリート投資法人は8.83%、森トラスト・ホテルリート投資法人は6.93%、星野リゾート・リート投資法人は4.96%下落しました。ホテル系リートがJリート市場に占める割合が低いこともあり、東証REIT指数は2.18%の下落でしたが、その後も15日まで軟調な地合いが継続しました。

▣ コロナ禍の悪材料を、3月にいったん織り込んだ可能性

ホテル系リートは、固定賃料契約のほか、ホテル収益によって変動する賃料を組み合わせた契約をテナントと締結していることが多く、ホテルの休業などが相次ぐ中、変動賃料の大幅な減少が見込まれます。また、固定賃料についても支払い猶予や減免等を要請されることも懸念されます。

もっとも、ホテル系リートは大きく売り込まれましたが、まだ3月に付けた安値を上回る水準を維持しています。他のリートも3月の安値を大きく上回っています。Jリート市場は、新型コロナウイルスの感染拡大による悪材料を、3月にいったん織り込んだとみられます。

▣ 経済活動再開が順調に進むと見直しも

5月14日には39県について緊急事態宣言が解除されました。宣言を継続している8都道府県については、政府は21日に解除できるか決定する方針です。21日に解除できない都道府県については、31日の宣言期間の最終日までに解除したい考えと伝えられています。

国内で経済活動再開が進み、4-6月期が景気の底との見方が強まると、売られてきたホテルや商業施設関連のリートについても買い戻しが広がることも想定されます。

とはいえ、緊急事態宣言の解除後も景気の戻りは鈍いとみられます。景気低迷が長期化することに加え、新型コロナウイルス感染拡大の第2波などには引き続き注意が必要です。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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