FRBは勇み足気味の緊急利下げ

2020/03/05

▣ 大幅利下げで、米経済の下振れリスクに先手

米連邦準備制度理事会(FRB)は3月3日に、臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を年1.50~1.75%から0.5%幅引き下げ、年1.00~1.25%とすることを決めました。

声明文では「米国経済は依然として強いが、新型コロナウイルスが経済活動に与えるリスクが高まっている」とし、「景気見通しへの影響を注視し、経済を支えるために適切に行動する」と、追加緩和の可能性も示唆しました。

パウエルFRB議長は、「米国の景気見通しへのリスクは著しく変化したと判断し、金融政策のスタンスを緩和した」と説明する一方、「利下げが感染率を下げることにならないことはわかっているが、経済に重要な後押しをもたらすと考えている」と金融政策の限界にも言及しました。

▣ 金融市場はリスクオンとはならず

緊急利下げにもかかわらず、3日の米金融市場はリスクオン(選好)とはなりませんでした。米国株は一旦上昇で反応しましたが、予想より早い決定だったものの、0.50%の大幅利下げについてはおおむね織り込んでいたことに加え、想定以上に米経済が悪化しているとの懸念から、売りが優勢になり大きく下落しました(図表1)。利下げではウイルスの感染拡大は防げない、また世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱を解決できないとの見方も、重しになった模様です。

米長期金利は、緊急利下げに加え、株価が大きく値を下げたことから、初めて1.0%を割り込み、一時0.90%と過去最低を更新しました(図表2)。米金利低下を受けたドル売りに加え、逃避通貨である円が買われ、ドル円は5か月ぶりに一時107円を割り込みました。4日の米国株式市場は、NYダウが前日比1,173ドル高と急反発しましたが、利下げを好感というよりは、米大統領選に向けた民主党候補指名争いの最大のヤマ場となる「スーパーチューズデー」で、バイデン前副大統領が躍進したことや、米経済指標が強い内容となり、新型ウイルスによる経済活動への懸念が和らいだことが主因でした。

▣ 市場は一段の利下げを織り込み

緊急利下げが不発に終わったことから、FRBの追加利下げに対する意欲がやや後退している可能性があります。一方、新型ウイルス対策としての利下げへの過度な市場の期待も後退している可能性があります。

とはいえ、米金融市場では緊急利下げを受けて、利下げ観測は一段と強まっており、3月の定例のFOMC(17、18日)で0.25%の利下げ、さらに4月のFOMCでも0.25%の利下げ実施が織り込まれています(図表3)。3月のFOMCで利下げがなかった場合には、失望感が広がることも想定されます。一方、利下げした場合には、織り込み済みでリスクオンの動きは限定的となる可能性があります。利下げの有無、とくに利下げ決定に対する市場の反応は、これまでより限られる可能性が高そうです。

▣ 日銀にも緩和圧力

中国では新たな感染者が減少傾向にあり、経済活動の回復の兆しが見える一方、その他の国で感染が拡大する中、FRBに続き、他の主要中央銀行が金融緩和に追随するとの見方や、景気対策への期待が強まっています。

日銀についても金融緩和観測が強まっていますが、副作用が懸念されるマイナス金利の深掘りやイールドカーブ(利回り曲線)のブル・フラット化(利回り低下・平坦化)には抵抗があるとみられることから、国内債への影響は限定的となりそうです。上場投資信託(ETF)の買い入れ増額なら、株式市場の支えになるとみられます。

図表入りのレポートはこちら

http://www.skam.co.jp/newest_report/contents_type=9&type=env

 

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