新型肺炎の感染拡大でリスクオフ

2020/02/26

▣ 株価急落、長期金利も大きく低下

イタリアや韓国など中国以外で新型肺炎の感染者数が急増していることを背景に、感染拡大による世界経済の下押しへの懸念が強まり、2月24日にはアジア株、欧州株、そして米国株が大きく下落する展開になりました。NYダウは前週末比1,031ドル安と、過去3番目の下げ幅を記録しました。25日の東京市場でもリスクオフ(回避)の動きが強まり、日経平均株価は781円安となり、2019年10月以来の安値を付けました。米国内での感染拡大への懸念を背景に、NYダウは25日にも879ドル安となり、2日間での下げ幅は過去最大となりました(図表1、2)。

リスク回避から安全資産とされる国債が買われ、国内の長期金利は25日にはマイナス0.105%程度と節目のマイナス0.10%を下回り、昨年11月下旬の水準まで低下しました。また、1.5%台で推移していた米国の長期金利は25日には一時1.30%まで低下し、過去最低を更新しました(図表3)。

恐怖指数とも呼ばれるVIX指数は24日には25.03、25日には27.85と、警戒水準の20を大きく上回りました。日本版VIX指数の日経平均ボラティリティ・インデックス(VI)も25日には一時25.9まで上昇しました。

Jリート市場も投資家のリスク回避姿勢の強まりから、利益確定売りが優勢になりましたが、25日の東証REIT指数は1.11%安と、日経平均株価の3.34%安に比べ、下落は限定的でした(図表4)。長期金利がマイナス圏で低下する中、3.4%台と相対的に高いJリートの予想分配金利回りに着目した買いなどから下げ渋った格好です。

▣ SARSの時は

2003年に世界的に流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)の際には、3月12日に世界保健機関(WHO)が注意喚起(Global Alert)を発しました。5月上旬に感染拡大が鈍化し、7月5日にWHOは終息宣言を出しました。

米国株はGlobal Alert前後に早々に底打ち、香港株は4月下旬に、日本株は5月上旬に底入れしました。米国株は6月上旬、香港株は8月初め、日本株は7月初めにSARS発生直後の高値水準を回復しました(図表5、6)。

▣ 政策期待は支えも、感染拡大の収束待ち

景気先行きの不透明感が一段と強まった場合には、各国が金融緩和や景気刺激策に動くとの期待が下支えしそうです。感染拡大の収束が見えてくればリバウンドも期待できることから、押し目買い意欲も根強いとみられます。

もっとも、中国以外で新型肺炎の感染が広がっていることから、感染拡大の収束のめどが立ちにくくなっており、しばらく不安定な相場が続く可能性があります。投資家のリスクを圧縮する動きにも注意が必要です。しばらくは、感染状況を確認しながら、押し目を探ることになりそうです。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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