景気、株価と再選を狙う米大統領選

2020/01/16 <>

▣ 現職大統領が有利

1月のQUICK月次調査<株式>(7~9日実施)では、2020年の日本株投資のリスク要因として米大統領選を挙げた市場関係者が73%を占めました。米中貿易摩擦やイランとの対立は、トランプ大統領の再選をにらんでの行動とみられます。今年も、トランプ大統領に金融市場が振らされることになりそうです(図表1)。

第二次大戦後に現職の大統領が再選挙に勝利したのは11人中8人、失敗したのはフォード大統領、カーター大統領、ブッシュ(父)大統領の3人。フォード大統領についてはニクソン大統領がウォーターゲート事件で辞任に追い込まれた後、副大統領から大統領に昇格したことから、選挙で選ばれた大統領ではないため、再選失敗と言えるかは微妙です。フォード大統領を除くと、現職の大統領の8割が再選に成功したことになり、再選は現職有利と言えそうです。

▣ 戦争は再選に有利か

ちなみに、ブッシュ(父)大統領は湾岸戦争で支持率が急上昇したものの、1992年の大統領選挙では再選に失敗しました。イラク戦争を仕掛けたブッシュ(子)大統領は再選に成功したものの、2期目はイラク戦争の泥沼化、行き詰まりから支持率を大きく下げました(図表2)。

戦争は一時的に支持率を上昇させますが、再選にプラスの影響を及ぼすとは限りません。トランプ大統領は、支持率押上げのために戦争をするというカードを持ってはいますが、支持率の上昇は一時的、限定的となる可能性が高そうです。イランとの対立を激化させ、軍事衝突に発展させることは、得策ではないかもしれません。

▣ やはり景気、株価が重要

1976年の大統領選(フォード大統領再選失敗)は前年の3月に景気後退終了、1980年の大統領選(カーター大統領再選失敗)は景気後退終了から3か月経過後、1992年(ブッシュ(父)大統領再選失敗)は前年の3月に景気後退終了と、景気後退の影響をまだ引きずっている局面であったことが、現職の足を引っ張った格好です(図表3)。

また、株価の動きについては、現職が再選を狙う大統領選挙までの3か月間がマイナスになったのは、フォード大統領以降の7回中4回、内3回は再選に失敗しています。残りの1回は2004年でブッシュ(子)大統領が辛くも勝利しました(図表4、5)。

このままいけば、米景気が大きく落ち込むことはなさそうですが、とくに夏場以降の株価については注意が必要かもしれません。

大統領選後の株価については、トランプ大統領が再選すると上昇、民主党候補が勝利すると軟調な動きになるとの見方が多そうですが、現職の大統領が再選を目指した過去の大統領選では、結果にかかわらず、株価が上昇する傾向がみられます。1976年以降では7回すべて、11月から年末にかけて株価が上昇しました。

国内については、オリンピック終了後の反動減が警戒されますが、米政権が景気浮揚に注力すると、国内株も支えられることが期待できそうです。

 

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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