東証REIT指数の目安

2019/10/18

▣ 東証REIT指数は堅調な動きが持続し、2007年7月の水準まで上昇

昨年から上昇基調が継続している東証REIT指数ですが、今年に入って上昇スピードが加速し、昨年末の1,774ポイントから、足元では2,200ポイントを上回り2007年以来の水準まで上昇しています(図表1)。

世界経済の減速懸念や通商問題をめぐる米中の対立などを受け、主要国の中央銀行が金融緩和に動き、低金利環境が長期化するとの見方が広がる中、相対的に高い分配金利回りに着目した“利回りを追求”する資金がJリート市場に流入したことが東証REIT指数を押し上げた主因とみられます(図表2)。また、貿易摩擦の影響を受けにくいことも、押し上げ材料となった模様です。

▣ NAV倍率と東証REIT指数

割高か割安かを判断する指標の一つであるNAV倍率は、足元で1.3倍程度と、2003年4月以降の平均値を若干上回る程度で、割高とまでは言えません(図表3)。NAV倍率は、リートの株価(投資口価格)が1口当たり純資産価値(NAV、リートの保有不動産の評価額-負債)の何倍かを示す指標です。

このNAV倍率は、直近では2016年5月に1.35倍まで上昇しました。標準的な水準の上限である“平均値+σ”は1.50倍で、この水準に近づくと割高感が強まるとみられます。2013年6月、2014年12月はこの水準を上回り、Jリートは上昇一服となりました。σ(標準偏差、シグマ)はデータの散らばり度合いを表す値で、“平均値-σ”を下回ると標準的な範囲より低い値、“平均値+σ”を上回ると標準的な範囲より高い値と解釈できます。

ちなみに、分配金が変わらないとして、NAV倍率が1.35倍になると東証REIT指数は概算で2,325ポイント、1.50倍になると東証REIT指数は2,500ポイントを大きく上回ることになります(図表4)。NAV倍率が平均値1.21倍まで低下すると、東証REIT指数は2,083ポイント程度が目安になります。

▣ 予想分配金利回りと東証REIT指数

Jリートの予想分配金利回りについては、分配金は増えているものの、価格上昇によって昨年末は4.16%、3月末は3.89%、足元では3.40%程度まで低下してきています(図表5)。

足元の予想分配金利回りの水準は、アベノミクス直後の2013年以降の平均値3.71%を下回り、“平均値-σ”の水準3.36%に近づいています。価格上昇とともに分配金利回りの低下も進んでいますが、2016年4月の3.18%、2015年1月の2.89%までは低下していません。

ちなみに予想分配金利回りが3.18%まで低下すると東証REIT指数は2,400ポイント程度が、平均値3.71%まで上昇すると東証REIT指数は2,050ポイント程度が目安になります。

▣ 長期金利からの乖離では、分配金利回りは低下余地

他方、絶対的な利回り水準ではなく、長期金利を基準にした相対的な分配金利回りの水準(予想分配金利回り-長期金利)では、足元は3.56%とまだ平均値3.48%には届いておらず、低下余地は残っています(図表6)。

仮に長期金利が変わらないと仮定して、“予想分配金利回り-長期金利”がこの平均値まで低下したとすると、東証REIT指数は2,290ポイント程度が目安になります。低金利が長期化し、投資家の利回り追求が継続すると、“予想分配金利回り-長期金利”が一段と低下する可能性はありそうです。

英FTSEラッセルは9月30日、Jリートを2020年9月から3か月ごとに4回に分けて世界株の運用指数「FTSEグローバル株式指数シリーズ」に組み入れると発表しました。指数との連動を目指すファンドが来年に組み入れるのを見越した投資家の買いも期待できそうです。

しばらくは、世界的に低金利環境が続き、日銀についても2%の物価安定目標の達成が見通せない中、強力な金融緩和政策を継続することが見込まれます。低金利に加え、9月末の東京都心の平均賃料が69か月連続で上昇するなど、Jリートの良好な収益環境は続いており、分配金の伸びも継続しています。スピード調整が入る可能性はありますが、投資家の安定した利回りを追求する姿勢も継続するとみられます。

 

図表入りのレポートはこちら

http://www.skam.co.jp/newest_report/contents_type=9&type=env

 

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