ECBは包括的な追加金融緩和策
欧州中央銀行(ECB)は9月12日に開いた理事会で、2016年3月以来、3年半ぶりの利下げや昨年末で終了した量的緩和政策を、期限を定めず再開することを決定するなど、市場予想を上回る包括的な追加金融緩和策に踏み切りました(図表1)。米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱問題が下振れリスクとして意識される中、景気減速やインフレ率の低迷を受け、賛否両論あった量的緩和策などにも踏み切った模様です。
主なポイントは以下のとおりです。
- 利下げ(マイナス金利の深掘り)
中銀預金金利(預金ファシリティ金利、銀行が中央銀行に余剰資金を預ける際の金利)をマイナス0.40%からマイナス0.50%に引き下げ
- 量的緩和政策再開
11月から国債などを毎月200億ユーロ規模で新たに買い入れて市中に資金を供給
(利上げを開始するまで必要なだけ継続する)
- フォワードガイダンス(金融政策の先行きの指針)見直し
「政策金利は少なくとも2020年前半まで、現行またはそれ以下の水準にとどまる」から時期についての文言を削除し、「インフレ見通しが2%弱としているインフレ率の目標にしっかりと収束していくまで、現行またはそれ以下の水準にとどまる」に変更
また、マイナス金利の銀行収益への悪影響を和らげるため、マイナス金利の対象を一部に限定する副作用を軽減するとともに、9月に始める銀行への長期資金供給策(TLTRO3)についても、期間を2年から3年に延ばすなど条件を緩和しました。
ECBがあわせて公表した経済・物価見通しでは、2019、2020年の成長率見通しはともに下方修正され、2019~2021年のインフレ見通しも引き下げられました(図表2)。
ECBは今回決定した強力な金融緩和を粘り強く継続することが見込まれますが、さらなる緩和余地は少なくなる中、ドラギ総裁は、「財政政策が主導する時期に来ている」と、財政政策の必要性を訴えました。一段の追加緩和観測が後退していることに加え、ドイツ政府などが財政支出を拡大し、経済の下支えに動けば、さらなる金利低下は限定的となる可能性があります(図表3)。金融緩和観測を背景にしたユーロ安の動きもやや弱まることも想定されます(図表4)。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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