GPIF、外債シフト継続、国内株の買い余力は2兆円超

2019/08/06 <>

▣ 国内株式がやや軟調

公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は8月2日、4~6月期の運用状況を公表しました(図表1、2)。国内債券、外国債券、外国株式の収益がプラスとなった一方、国内株式はマイナスでした。全体では4~6月期の運用実績は、2,569億円の黒字でした。

4月には米中貿易協議の進展期待が一旦広がりましたが、5月に入り再び報復関税の応酬が激化し内外の投資家心理を冷やしたことに加え、米国では早期の利下げへの期待が強まったことから、内外の債券市場は堅調な地合いが継続しました。また、早期の米利下げ観測から米国株式などは持ち直しましたが、国内株式は米金利低下とともに、ドル安・円高が進行したことも重しになり、やや軟調な動きが継続しました。外国債券、外国株式の収益はプラスでしたが、円高の進行が収益を押し下げた格好です。

▣ 外国証券の割合上昇

4~6月期の売り越し、買い越しを試算すると、国内債券を減らす一方、外国債券を9,000億円超買い越しました。国内株式については僅かに買い入れた模様ですが、大きくは動きませんでした。外国株式についても200億円強の買い入れにとどまりました。

構成割合については、国内債券は収益額が売り越し額(償還を含む)よりも大きく、3月末から若干上昇しました。国内株式は相場下落の影響で、構成割合は若干低下しました。外国債券が3月末の16.95%から6月末には18.05%に、外国株式が25.53%から26.43%に上昇しました。

▣ 外国債券の積み増しペースは鈍化か、基本ポートフォリオを下回る国内株式には買い余力

国内で超低金利が長期化する中、外国債券にシフトする姿勢は継続している模様ですが、外国債券の構成割合の上限である19%に近づいており、積み増し余地は限られてきています。来年度から始まる次の中期目標期間に向けて、外国債券の基本ポートフォリオの水準が引き上げられない限り、外国債券の積み増しペースは鈍化するとみられます。

国内株式については、構成割合は23%台半ば、直近では若干低下しているとみられます。過度な期待はできませんが、基本ポートフォリオの25%を下回っている分である2兆3,000億円~2兆6,000億円程度は、買入余力が残っているとはいえそうです。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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