IMF、世界経済見通しを下方修正
国際通貨基金(IMF)は7月23日、改訂した世界経済見通しを公表しました。
主なポイントは以下のとおりです。
- 「世界の経済成長は低迷を続けている」と総括し、2019年の世界経済の成長率予想を従来の3%から3.2%、2020年は3.6%から3.5%と、4月の予測からそれぞれ0.1%ポイント下方修正(図表1、2)
- 今回の見通しは、米国が2019年5月に中国からの輸入2,000億ドルに対して関税率を10%から25%に引き上げ、中国がこれに報復した状況を反映
- 2019年の下方修正は4期連続で、仮に予測通りであった場合には成長率は金融危機後で最低
- 2020年は5%に回復すると見込まれるが、現在ストレス下にある新興市場国や発展途上国が安定すること、また、貿易政策をめぐる意見対立が解決に向かうことが、前提となっており、「この予測は心許ない」
- 貿易摩擦の影響で今年の世界貿易額の伸びは鈍化するものの、上記の前提の下、2020年については2018年と同ペースの7%増に回復するとの見通し
- 世界経済にとって最大のリスク要因は、
- 米中のさらなる関税対立
- 米国の自動車関税
- 英国の合意なき欧州連合(EU)離脱
など、望ましくない展開が景況感を悪化させ、設備投資を損なって、世界的なサプライチェーンを混乱させ、世界経済の成長率を大幅に低下させること
- 日本:2019年の成長率は4月の予測からは1%ポイント下方修正され0.9%。2020年の成長率は0.4%に大きく低下。消費税率引上げによる景気の変動は、財政政策によって幾分緩和される見通し
- 米国:2019年の成長率は6%と、第1四半期の売れ残りの在庫品増加が寄与し、0.3%ポイント上方修正。財政刺激策の効果が剥落していくのに伴い、2020年は1.9%に低下
中国:景気刺激策が経済活動を下支えすると見込まれ、成長率は2019年に6.2%、2020年に6.0%となる見通し(いずれも0.1%ポイントの下方修正)
リスク要因として挙げられた米中貿易摩擦(関税対立)については、来年の米大統領選をにらんで、歩み寄りがみられると見込まれますが、協議は難航している模様です。7月30日から米中の閣僚級協議が6月末の首脳会談後で初めて開かれると伝えられています。しばらくは米中の協議の動向に内外の金融市場が振らされる状況が続きそうです。
米国の自動車関税については、トランプ米大統領が5月に関税引上げの判断を最大11月まで延期し、交渉相手の日本やEUに猶予を与えました。これに対しEUは7月23日、米国が追加関税措置をとった場合、報復として総額350億ユーロ相当の米製品に関税をかけることを明らかにするなど、欧米の対立も予断を許さない状況です。日本も警戒が必要です。
英国のEU離脱(ブレグジット)については、ボリス・ジョンソン氏が新首相に就任し、10月末の離脱を約束しました。EUから「新たな合意、より良い合意」を取り付けるとしていますが、合意なき離脱(「物、人、資本、サービス」が自由に移動でき、貿易に対する関税や割当などを廃しているEU単一市場・関税同盟から外れ、世界貿易機関(WTO)のルールに従う)への準備も加速させるとしています。
世界経済の不確実性が高まる中、下支え役として内外の中央銀行は緩和姿勢を強めるとみられます。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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