GPIF、引き続き国内株・Jリートの下支え役
▣ 国内債券、国内株式の構成割合が低下する一方、外国債券、外国株式が上昇
公的年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は7月5日、2018(平成30)年度の「業務概況書」を公表しました。2018年度第3四半期は、国内外の株式市場が大幅に下落したことや円高の進行を受け14兆円を超える赤字でしたが、第4四半期は持ち直し、2018年度では2兆3,795億円の黒字と、3期連続で運用益を確保しました(図表1、2)。
2019年3月末の運用資産の構成割合は、国内債券が2018年3月末の27.50%から26.30%に、国内株式は25.14%から23.55%に低下する一方、外国債券は14.77%から16.95%に、外国株式は23.88%から25.53%に上昇しました。国内株式の割合低下は相場の下落によるところが大きかった一方、国内債券については日銀の強力な金融緩和を受け、利回りが非常に低位で推移し、収益性が低下する中、外国証券に資金を振り向けた模様です。
▣ 海外は米国中心
国別の投資額では、国内債券、国内株式が減る一方、米国債、米国株の増加が際立ちます(図表3、4)。もっとも、前年度比では軟調な国内株、堅調な米国株の動きを反映したもので、積極的に米国株を購入したというわけではなさそうです。一方、外国債券については、米国債中心に購入したとみられます。
その他の国では、利回りの高いイタリア債やスペイン債での運用が目につきますが、積極的に買い増した形跡は見受けられません。
▣ Jリートはやや増加、不動産投資には引き続き前向き
Jリートについては、2019年3月末で704億円弱と、2018年3月末の685億円から増加しました(図表5)。銘柄数についても54銘柄から60銘柄まで増えています。
GPIFは上記の上場しているJリート以外に、不動産投資を2018年1 月から開始しました。同年3月末時点では国内不動産を対象にした私募リート81 億円への投資にとどまっていましたが、2019 年3 月末時点では時価総額1,249 億円まで増えており、不動産投資に前向きな姿勢がみられます。
▣ 国内株式に買い余力、今後はオルタナティブに注力か
国内債券を減らし、外国債券を増やしてきましたが、外国債券の割合が17%程度と、許容範囲の19%に近づいています。国内の長期金利がマイナス圏で推移する中、外国債券投資は続くとみられますが、買い増しは限定的になる可能性があります。国内株式については、基本ポートフォリオの25%を下回っており、買い増しに動く余地はありそうです。また、外国債券・株式が基本ポートフォリオを上回る中、伝統的な投資対象である上場株式、債券以外の、オルタナティブ資産(電力発送電、パイプライン、鉄道などのインフラ、非上場企業の株式(プライベート・エクイティ(PE))および債権(プライベート・デット)等、不動産)の運用にも注力していくことも見込まれます(図表6)。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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