オフィス空室率は再び低下し、過去最低を更新
▣ 空室率は過去最低の1.7%まで低下
三鬼商事が5月9日に発表した4月の東京都心(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の空室率は1.70%と3月に比べ0.08ポイント低下し、月次データが残る2002年1月以来の最低を更新しました(図表1)。3月は1.78%で2月から横ばいでしたが、4月は再び低下に転じた格好です。平均賃料は坪当たり2万1,279円と前月比0.69%上昇。平均賃料の上昇は64か月連続で、良好なオフィス市況が継続しています。
▣ 今後のオフィスビル供給は
オフィスビル供給については、2018年は大量供給により需給バランスが崩れ、オフィス市況が悪化するとの懸念(2018年問題)がありましたが、この懸念は杞憂に終わりました。
今後については、森ビルが公表した“東京23区の大規模オフィスビル市場動向調査2019”によると、2019年は大規模オフィスビルの供給量は過去平均並みに落ち着くものの、2020年、2023年は供給量が高水準になります(図表2)。ただ、2021年、2022年にオフィスビル供給が急減することから、2023年の大量供給も平準化すれば、需給への影響は限定的となる可能性があります。とはいえ、東京都心のオフィス空室率は過去最低水準まで低下してきており、空室率の低下が一段と進行するというよりは、低位での推移が続くとみた方がよさそうです。
▣ 旺盛なオフィスニーズ
オフィスの空室率と平均賃料を図表3のように対比させると、空室率が下げ止まっても、平均賃料の上昇傾向が続くことが見て取れます。空室率が上昇に転じると、賃料の上昇も鈍くなり、過去の例では空室率が4%前後まで上昇すると賃料の上昇が一服します。もっとも、足元で1.7%の空室率が4%に到達するのにはもうしばらく時間がかかるとみられます。賃料の伸びはやや鈍化する可能性はありますが、2020年竣工ビルについてもテナント誘致が進んでいる模様で、企業の旺盛な増床ニーズなどから、中期的にも良好なオフィス市況が続きそうです。
ちなみに、厚生労働省が公表している有効求人倍率が1倍を超えてくると、平均賃料が前月比でプラスに転じる傾向が見られます(図表4)。一方、この有効求人倍率が1倍を下回っても、しばらくは平均賃料の上昇が続きます。足元の3月の有効求人倍率は1.63倍と1倍を大きく上回り、1974年以来の高水準です。企業の業容や人員の拡大が続く中、旺盛な求人ニーズもオフィス市況を支えそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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