生保の2019年度の運用計画

2019/05/09

▣ 今年度もクレジット物や外債に投資

国内の大手生命保険会社の2019年度の運用計画が出そろいました。以下、日経QUICK、ロイター、Bloombergなどの報道を基に、運用実績、運用計画をまとめています。

2018年度の運用実績については、超低金利が継続する中、引き続き日本国債への投資は手控えられ、社債などのクレジット資産(信用リスクがある資産)や外国債券を増やす動きが継続しました(図表1)。

2019年度についても、国内の金利が低位で推移すると見込まれる中、国内債に積極的に投資する方針の生保はなく、社債や非居住者が発行する円建て債券(サムライ債)などのクレジット物や超長期債などの比較的利回りの高い債券に振り向ける傾向に変わりはなさそうです。

外国債券については、米国債は為替の変動リスクを回避するためのヘッジコストが高いため、為替ヘッジしないオープン外債を増やす、また社債など利回りの高い債券を投資対象にする、オープン外債については為替動向を見ながら機動的コントロールする、といった傾向が見られます。

また、通貨分散を図ることに加え、ヘッジコストが低いことから、投資対象を欧州債などにシフトする傾向も継続している模様です。ただ、米国債に比べ利回りが低いため、国際機関債やスペイン債など、クレジットリスクを抑えながらもやや利回りの高い債券が対象となっています。

▣ 通貨分散に加え、不動産投資も

今年度の運用については各社違いがあるものの、

  • 日本国債の金利は積極的に買っていく水準には足りない
  • 国内の20年債や30年債の利回りが1%になれば積極的に買い入れたい
  • 米国債にヘッジを付けると投資妙味がない
  • ソブリン債(政府や政府機関が発行または保証する債券)では欧州債の買い増しが中心
  • 円高に振れたタイミングでは、為替ヘッジを付けない「オープン外債」も検討する
  • 外国債券はヘッジコストの高止まりを受け、為替ヘッジ付きの外債の残高は横ばいか減少を計画。国債を売却し、スプレッド収益を得られる社債などに入れ替えを進める
  • 現在は北米や欧州、オーストラリアが中心だが、シンガポールなどアジアを対象にすることも検討
  • 為替ヘッジ付き外債は米欧を中心とする信用力の高い銘柄
  • これまで米国債に軸足を置いてきたが、もう少しユーロについても前向きに考える

などが、特徴として挙げられます。

また、内外の株式についてはまちまちの運用計画ですが、不動産については、

  • 不動産は、収益力向上や分散投資の観点で魅力的なアセットという位置づけで、2019年度も残高が増加する見通し
  • 不動産について、中長期的にみれば安定的な賃料が期待でき、インフレヘッジ性もある

と、前向きな生保がみられます。

▣ 相場見通しは

長期金利は0.0%程度で推移するとの見通しが大半で、日銀の金融政策に変更はないとの見通しです(図表2)。米長期金利については、2%台で推移するとの見方です。日経平均株価、NYダウについては、上下まちまちの見通しですが、極端な下落や上昇は見込んでいません。各社の期末値を平均すると、日経平均株価は2万1,800円、NYダウは2万5,850ドルと、足元の水準とほぼ変わらずとなっています。

ドル円については、レンジの下限の最低は100円、上限の最高は115円。期末値は105円が最低で、最高値と最頻値が110円と、極端な円高・ドル安は見込んでいません。為替リスクは比較的小さいとみている模様です。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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