マイナス成長の翌期の株価は
▣ IMFは世界経済見通しを引き下げ、日本についても若干下方修正
国際通貨基金(IMF)は4月9日に改定した世界経済見通し(WEO)で、2019年の成長率予測を前回1月の見通しの3.5%から3.3%に引き下げました(図表1、2)。米中貿易摩擦の激化、トルコやアルゼンチン経済の不安定化、主要先進国での金融政策の正常化などを背景にした2018年の世界経済の伸び悩みが、2019年前半も続くとの見方です。英国の欧州連合(EU)離脱なども懸念材料です。
もっとも、主要国でインフレ圧力が強まらない中、米連邦準備制度理事会(FRB)が年内の利上げを見送ることを示唆するとともに、欧州中央銀行(ECB)は年内の利上げを見送る方針に加え、長期資金の供給の開始を決定、また日銀は強力な金融緩和を粘り強く続けていく姿勢を示すなど、緩和的な政策スタンスを強めています。加えて、米中貿易摩擦も協議が進展し、先行きの見通しが改善してきていることから、2019年後半から世界経済の成長が再加速するとの見方です。2020年には成長率は3.6%まで回復すると予測しています。ただ、この見通しは不確実性をはらんでおり、引き続き下振れリスクが優勢としています。
日本については、2019年の成長率は1.0%と予測し、1月時点から0.1ポイント下方修正しました。消費増税に伴う景気刺激策で、景気が下支えされる見込みですが、2020年は成長率が0.5%に鈍化する見通しです。
▣ 日本の1~3月期の成長率見通しがマイナス、4~6月期は株価の上値が重くなる可能性も
日本経済研究センターが同じ日に発表した4月の「ESPフォーキャスト調査」(民間エコノミスト約40名の経済見通し)では、日本の成長率は、2018年度は0.55%、2019年度は0.53%、2020年度は0.55%で、ほぼ横ばいで推移する見通しとなっています(図表3)。2019年度の成長見通しは、1月調査の0.70%からじりじりと低下していますが、2020年度については1月調査の0.58%よりは低いものの、3月調査の0.52%からは上昇しています。
今回の調査では、設備投資が下方修正されたことなどから2019年1~3月期の実質国内総生産(GDP)成長率(前期比年率)見通しがマイナス0.06%と、3月調査のプラス0.01%からマイナスに転じたことが注目されました。
1~3月は国内株が堅調な動きになっただけに、実体経済とのかい離が警戒されています。過去の例では、マイナス成長となる一方、株価が上昇した四半期の翌期には、株価が下落する傾向がみられます(図表4)。2010年以降では、6ケース中5ケースが当てはまります。2014年4~6月期のケースでは、翌7~9月期の株価は堅調な動きになりましたが、消費増税で落ち込んだ反動とみられ、例外とも考えられます。
新年度に入り、米中の経済指標の改善を受けて世界経済の減速懸念が後退したことや米中通商協議の合意期待などから、株価はやや強含みで推移しています。とはいえ、米中通商協議が進む中、日米通商協議が来週から始まる予定です。今年の1~3月期がプラス成長となる可能性も残りますが、株価の上値が重くなることには注意が必要です。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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