日銀短観、景況感悪化も設備投資はやや強気
ポイント:
- 企業の景況感は悪化
- ただ、設備投資計画は強気
- 想定為替レートを実勢のドル円が上回って推移すると、景況感は改善する可能性
▣ 大企業・製造業の景況感は大きく悪化
日銀は4月1日、3月の全国企業短期経済観測調査(短観)を発表しました。注目度の高い大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス12と、2四半期ぶりに悪化しました(図表1、2)。2017年3月調査以来の低水準で、前回調査から7ポイント低下と、低下幅は6年3か月ぶりの大きさで、企業の景況感が悪化している模様です。先行き(3か月後)も8と、4ポイント低下する見込みです。
▣ 設備投資計画は予想に反しプラス
ただ、大企業・非製造業の業況判断DIは、前回調査から3ポイント低下の21、先行きは20と、製造業ほどは悪化していません。2019年度の大企業・全産業の売上高計画は前年度比0.9%増と、小幅ながら増収の見込みです。大企業・全産業の経常利益計画は同1.3%減ですが、利益水準が高いため、業績悪化への警戒は広がっていません。上期は減益ですが下期には回復の見込みとなっています。また、2019年度の設備投資計画は、全規模・全産業で前年度比2.8%減とマイナスの計画ですが、大企業・全産業は同1.2%増と市場予想に反してプラスであり、やや強気の計画になったことは安心材料です(図表3)。
▣ 先行きが10を下回ったのは懸念材料
とはいえ、大企業・製造業の先行きの業況判断DIが10を割り込んだことはやや懸念されます。2010年以降で先行きの業況判断DIが10を割り込んだケースでは、2014年3月は円安が進行したこともあり、その後の業況判断DIは10を超えて推移し、株価も堅調な動きになりました(図表4)。一方、2015年12月のケースでは、その後ドル円が想定為替レートを下回って推移したこともあり、2016年半ばまで株価は軟調な動きになりました。
▣ ドル円が想定為替レートを上回って推移すると、景況感も持ち直しか
今回の短観の2019年度の想定為替レート(ドル円、大企業・製造業)は、108.87円とやや円高を見込みます。足元のドル円の水準は、想定為替レートから3円弱の円安水準にあり、このまま110円台で推移すると業績上振れ期待から、株価が押し上げられることも想定されます(図表5)。
株式市場は、トランプ米大統領が、歴史的な合意は数週間先になるだろうとの見方を示している米中貿易協議、今月半ばにも始まると伝えられている日米の貿易交渉、今月下旬から本格化する企業決算などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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