設備投資は鈍化も、景況感の先行き楽観は支え

2019/03/15 <>

▣ 企業の設備投資は鈍化

財務省が3月1日に発表した法人企業統計で、2018年10~12月期の全産業(金融・保険を除く)の設備投資が前月比5.7%増と9四半期連続で増加したことを受け、一旦市場に安心感が広がりました(図表1)。

ただ、3月13日発表の1月の機械受注統計では、中国のスマートフォン需要の減退などを背景に、民間設備投資の先行指標である「船舶・電力除く民需」の受注額が前月比5.4%減と、3か月連続で減少しました(図表2)。

景気の先行指標とされる工作機械も、2月の受注額が前年同月比29.3%減と、5か月連続で前年割れとなりました(図表3)。中国向けを中心に減少が続く外需(輸出)に加え、日本の内需も落ち込み、設備投資に対する慎重姿勢が広がっている模様です。

▣ 景況判断は足元は悪化も、先行きは楽観

内閣府と財務省が12日に発表した1~3月期の法人企業景気予測調査によると、全産業の設備投資については2018年度は前年度比7.4%増える見込みですが、企業利益の落ち込みを背景に2019年度はマイナス6.2%と減少に転じる見通しとなっています。

もっとも、大企業・全産業の景況判断指数(BSI)はマイナス1.7と、3四半期ぶりにマイナスとなりました(図表4)。中国経済の減速懸念が日本の輸出・生産に波及し、企業心理が悪化したことが背景とみられます。ただ、先行きは4~6月期がマイナス0.3、7~9月期はプラス5.7と改善を見込んでいます。また、2019年度の経常利益については上期は減益となるものの、下期には増益に転じる見込みです。2019年度の通期ではマイナスとなる見込みですが、特に大企業では利益見通しについて保守的な傾向がみられることから、やや割り引いてみることが必要かもしれません。

▣ 引き続き米中にらみ

QUICKが15日に発表した3月の企業短期経済観測調査(QUICK短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は製造業がプラス12と、2年5か月ぶりの低水準だった2月(プラス11)から6か月ぶりに改善しました(図表5)。米中貿易問題を背景に悪化していた企業の景況感が下げ止まってきた可能性があります。

最近の企業心理の悪化は、米中貿易摩擦や中国経済の減速懸念が大きく影響しているとみられます。ムニューシン米財務長官は14日、米中貿易協議の最終合意に向けたトランプ米大統領と中国の習近平国家主席による首脳会談について、4月以降にずれ込むとの見通しを明らかにしました。協議が決着するまでは、企業の設備投資同様、金融市場も慎重姿勢が続きそうです。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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