金融政策の不透明性後退と金融市場
ポイント:
- 日、米、欧の今年の金融政策に対する見方が固まってきている
- 金融市場のボラティリティ(変動性)も低下し、リスクがやや高い資産に投資しやすくなっている可能性
- ただ、株式についてはボラティリティは低下しているものの、金融政策以外の不確定要素が多いため特に米国株のボラティリティは下がり切っておらず、警戒感は若干残る状況
- 国内債、米国債の利回りはレンジが継続する可能性
- 為替も落ち着いてきており、外債投資も検討
▣ 内外の金融政策の不透明性が後退
米連邦準備制度理事会(FRB)は昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利見通しを2回の利上げとする一方、バランスシートの縮小を継続する姿勢を示したことを受け、予想より金融引き締めに慎重なハト派ではないとの見方が広がり、金融市場は不安定な動きになりました。今年1月のFOMCでは一転、バランスシート縮小の年内停止を示唆するとともに、利上げについても「フェデラルファンド(FF)金利の目標レンジに先行きどのような調整が適切となりそうかを判断する上で辛抱強く臨む」と、利上げを一旦棚上げしました。バランスシート縮小は年内で停止、また今年の利上げはあっても1回が、コンセンサスになっています。
日銀については、物価目標2%達成が見通せない中、追加緩和が意識されますが、追加緩和は効果より副作用(金融機関収益への悪影響等)が大きい可能性があることから、現行の金融政策が継続するとみられます。
また、欧州中央銀行(ECB)は、政策金利について「インフレの持続的な持ち直しが確実になるまで必要な限り、少なくとも2019 年夏まで現状の⽔準を維持する」としていますが、域内の景気低迷を受けて、新たな長期の資金供給を検討していると伝えられるなど、年内の利上げの可能性は大きく後退しています
内外の金融市場では、金融政策の不透明性が後退していることを受け、市場参加者の不安感や市場の不安定さを表すボラティリティ(変動性)が低下してきています(図表1~6)。
▣ ボラティリティ低下で、ややリスクの高い資産へ投資も
株式市場については、ボラティリティは低下しているものの、金融政策以外の不確定要素が多いため特に米国株のボラティリティは下がり切っておらず、警戒感が残ります。一方、国内債市場については、日銀が国債買入れオペのオファー金額を変更すると、市場が反応して動く程度で、狭いレンジでの動きが続くとみられます。
日銀がイールドカーブ(利回り曲線)の一段のブル・フラット化(利回り低下、平たん化)を望んでいないことから、“ブル・フラット化進行→日銀がオペのオファー金額を減額→債券が下落(利回り上昇)→もみ合い→再びじりじりとブル・フラット化→日銀がオペのオファー金額を減額→・・・”、といった流れが続きそうです。
他方、FRBが利上げするかしないかは経済指標などのデータ次第でせいぜい1回できるかどうか。仮に利上げを実施したとしても、利上げ停止が示唆されれば、金融市場への影響は限定的になる可能性があります。米長期金利は足元では2.71%程度と、あと1回利上げが実施された場合の政策金利の上限2.75%に近い水準です。政策金利のピーク時には、短期から超長期までの利回りはほぼ同水準になることから、仮にあと1回利上げが実施されたとしても、米長期金利の上昇は限定的となる可能性が高そうです。
為替についても、ボラティリティが低下する中、金融政策からは安定した推移が見込まれます。
国内の超長期債の押し目買いのほか、長期金利が低位で推移するのであれば、相対的に高い分配金利回りが見込めるJリート、また米国債などへの外債投資も検討してもよさそうです。
ただ、為替については、日米通商交渉で通貨安誘導を封じる為替条項が求められることや、来年以降の米利下げを織り込む動きが出てくることなどには注意していく必要があります。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/env/
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