FRBのバランスシート縮小停止は、国内株に恩恵も

2019/02/22 <>

ポイント:

  • FRBはバランスシートの縮小について、年内終了を近く発表する可能性
  • 政策金利の調整(年内の追加利上げ)については意見が分かれるが、経済指標次第では利上げ再開の可能性
  • 緩和マネー縮小が一服すると、海外投資家の日本株売りが後退する可能性も

▣ バランスシート縮小停止は既定路線に

米連邦準備制度理事会(FRB)は2月20日、1月の米連邦公開市場委員会(FOMC、29~30日)の議事要旨を公表しました。

バランスシートの縮小(量的緩和政策で積み上がった米国債などの保有資産の縮小)については、「ほぼ全員の参加者が、保有資産の縮小を年内に停止する計画を近く発表することが望ましいとの考えを示した」と、3月にも年内終了が発表される可能性が出てきました。

昨年12月、パウエルFRB議長がFOMC後の記者会見でバランスシートの縮小について、「これまでのところスムーズで変更するつもりはない」と、継続する姿勢を示したことから、期待ほど金融引き締めに慎重なハト派ではないとの見方が広がり、株価が大きく下落しましたが、1月にはこの方針を大きく転換させました。

▣ 利上げについてはまだ不確実だが

利上げについては、

  • 多くの参加者は、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の目標レンジについて、どのような調整が年内に適切となり得るかまだ明確でないとの見方を示唆した
  • 何名かの参加者は、インフレ率が予想外に上昇した場合のみ、利上げが必要となってくるとの見方を示した
  • 他の何名かの参加者は、経済が予想通りに展開した場合、政策金利を年内に上げることが適切との見方を示した

と、利上げの条件は違うものの、利上げ再開の可能性を残しました。

利上げについては、米短期金融市場は、年内の利上げはなしで若干利下げの可能性もあるとの織り込みでしたが、年内の利上げなしの確率が90%程度まで上昇してきています(図表1)。金融市場では利上げ確率は高まっておらず、利上げなしがメインシナリオです。

年内の利上げについては、まだ不確実な状況で、利上げの可能性が高まると、金融市場が混乱する可能性があります。

▣ バランスシートの縮小が停止されると、海外投資家の日本株売りが後退する可能性も

他方、バランスシートの縮小停止は既定路線となりつつあります。アベノミクス以降の日本株の上昇は、海外投資家がけん引してきた格好でしたが、FRBの量的緩和政策(米国債などの資産購入)終了後には、海外投資家は日本株の売り手に回っています(図表2)。中国経済の先行き不安による国内企業の業績懸念に加え、FRBなどが量的緩和政策で供給してきた緩和マネーの縮小も、日本株に対する海外投資家の動向に影響を与えてきた可能性があります。

FRBのバランスシートの縮小が停止されると、海外投資家の日本株売りが後退することも期待されます。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/env/

 

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