混迷のブレグジット、その論点と展望

2018/12/19

はっきりしたのは「英政治の機能不全」のみ

ブレグジットをめぐる混迷で、英国の評判は落ちる一方です。離脱条件については英政府とEUの協定案が11月に一旦まとまったものの、依然、英国の主権を担う議会の承認を得る目途が立ちません。

振り返ると、ブレグジット(英国の欧州連合(EU)離脱)は2016年6月の国民投票で決まり、金融市場に衝撃を与えました。翌年3月に宣言された期日は、2019年3月29日です(延長の可能性あり)。しかし期日が迫っているにもかかわらず、どのような形の離脱になるのか、まだ定まっていないのです。

「秩序ある離脱」の場合、当面の影響は限られる

今後の展開としては「英国とEUの合意(協定)に基づく秩序ある離脱」「合意なき離脱」「ブレグジット撤回・EU残留」の三つに大別できます。このうち(消去法で)望ましいのは、第一のケースです。

「秩序ある離脱」であれば、来年3月末に何かが劇的に変わるわけではありません。移行期間として2020年末までは(これも延長の可能性あり)、相互の無関税や自由な移住など、従来の基本的な関係は維持されるからです。将来の包括的な通商関係については、この期間中に英国・EU間で協議されます。

最悪なのは「合意なき離脱」

「秩序ある離脱」の場合、英ポンドは一旦上昇しそうです。「合意なき離脱」への恐怖から、すでに相当下落しているからです(図表1。ただ、通貨安は輸出に有利などの理由で英国株は国民投票後に上昇)。

離脱条件の合意形成に結局失敗した場合、英経済は大混乱でしょう。英国とほかのEU加盟国との貿易などは高度に自由化されていますが、「合意なき離脱」の瞬間、相互の関税・審査手続きが発生するのです。その準備は不十分なので、厳しい審査を要する食品や薬品の不足といった事態すら想定されます。

「アイルランド問題」という厄介事

離脱条件に関し一番の難題は、アイルランド島に関連しています。北アイルランド(英国の一部でありEU離脱)とアイルランド共和国(EU加盟国でありEUに当然残留)との国境をどうするか、です。

北アイルランドを含む英国がEUから離脱し、かつ移行期間が終わると、北アイルランド・アイルランド間の貿易には関税が発生するはずです。それを徴収するには、厳格な国境管理(今は最小限)が必要となります。そうなれば、特に北アイルランドとアイルランドの融合を目指す人々が猛反発します。

再投票による「ブレグジット撤回」は危険

そのためEUと英政府は、北アイルランドを含む英国全体をEUの関税同盟に「暫定的に」とどめる案を示しています。しかしこれではブレグジットが骨抜きになりかねず、強硬な離脱派が納得しません。

合意形成が行きづまる中、国民投票のやり直しを求める声も増えています。結果、「ブレグジット撤回」もあり得ます。問題は、様々なケース(図表2)のうちどの2つ(または3つ)を投票で問うのか、です。また、再投票となれば議会制の失敗を認めるのと同じであり、英国の評判は地に落ちるでしょう。

図表入りのレポートはこちら

http://www.skam.co.jp/newest_report/contents_type=8&type=topics

 

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