オーストラリア取材報告-その魅力はどこから生まれるのか?

2018/06/28

26年連続で景気拡大

今月、オーストラリアのシドニーを往訪しました。この国は、ある意味で日本と似た立場にあります。米国と中国が鋭く対立する中(貿易摩擦など)、その双方とうまく付き合っていかねばならない点です。

ただし日本とは異なり、オーストラリアの景気は長らく堅調です。過去26年間、世界金融危機時(2008年)も含め、一度も景気後退(2四半期連続のマイナス成長)に陥っていないのです。最近の経済成長率も、先進国としては高めです(過去5年間の平均は日本:1.3%、米国:2.2%、オーストラリア:2.4%)。

世界屈指の資源国 

それはやはり、豊富な資源のおかげでしょう。鉄鉱石の産出量は世界一、石炭や金なども上位です。一方、人口は2,500万人以下です(面積は米国や中国とあまり変わらないが、内陸部は過酷な乾燥地帯なので人口は沿岸部に集中)。このため、1人あたり経済規模は日本の約1.4倍です(ただ、物価も高い)。

恵まれた経済環境を背景に、社会保障(医療、年金、生活保護など)も充実しています。それらによる余裕が、この国の特徴と言える「大らかさ」を可能にしているのでしょう。夜遅くまで働くのを美徳とする奇妙な風潮もありません。シドニー中心部でも、多くの店舗は夕方6時頃に閉店してしまいます。

アジア(中国・日本など)との深い関係

今世紀に入ってからは、中国などアジア新興国の躍進(それに伴う鉄鉱石などの需要増)という幸運にも恵まれました(ただし資源輸出のみに頼っているわけではなく、学校教育や科学技術もハイレベル)。

日本では普段意識されませんが、オーストラリアはアジア太平洋地域に属しており、時差もわずかです(シドニーは日本より1時間早い)。また、17~18世紀にこの地を「発見」したのは欧州人ですが(写真1)、19世紀以降、多くの中国人が移住しました(写真2)。これらより、オーストラリアは名実ともにアジア経済圏の一部となっています。対日関係も深く、日本向けの輸出は中国向けに次ぐ大きさです。

英国発祥の文化、米国との軍事同盟 

とはいえオーストラリアは、現在もコモンウェルス(英連邦)の一員であり、形式上は英国のエリザベス女王を元首と仰いでいます。そのため、文化的には英国など欧州の流れをくむと自負する人が多いようです。また安全保障に関しては、第2次世界大戦後、米国との間で強固な同盟関係を築きました。

要するに、経済ではアジア、文化では英国、軍事では米国、という具合に、分野に応じて連携相手や拠り所を巧みに変えつつ、国としてのアイデンティティ(独自性)を保ってきたのがオーストラリアです。現在の繁栄と安定は、そのようにバランスを重視した現実的な戦略が功を奏した結果と言えます。

多民族国家・オーストラリアの生き方に学ぶ

ただ最近は、そのバランスが崩れかけています。既存の同盟を軽んじるトランプ米大統領へのオーストラリア人の反感が増す一方、中国の影響力が強くなり過ぎて、政治介入の動きもみられるからです。

しかし、ナショナリズムが荒れ狂っているわけではありません。たしかに移民申請の条件や、外国人による不動産取得の要件は厳しくなってきました。ただ、それらは健全な国益追求の範囲内です。多民族・多文化の共存という、豊富な資源と並ぶオーストラリアの魅力は何ら変わっていません。多様な他者との協調の仕方を心得ているこの国は、今後も米中双方と適切な関係を維持できるでしょう(図表1)。

図表入りのレポートはこちら

http://www.skam.co.jp/newest_report/contents_type=8&type=topics

 

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