金融市場と国際情勢の大きな変化
株式市場の様相が変わった
米国や日本などの株式市場は、今年2月の急落を境として、様相が大きく変わりました。要するに、ほぼ一方的な上昇傾向が続いた1月頃までとは違い、経済的・政治的なリスクに敏感となったのです。
そうした状況は、しばらく続きそうです(長ければ米国の中間選挙(11月)頃まで)。米中貿易摩擦、中東などの軍事的緊張、米ハイテク企業の規制をはじめ、依然として不確実な材料が山ほどあるからです。政治・外交による対処を誤れば、経済や国際秩序を大混乱に陥れる破壊力を秘めたものばかりです。
非常に都合の良い相場環境は終わった
また、米欧や日本における金融政策の変化(極端な金融緩和の段階的正常化)も不可避です(日本は取り残されていますが)。金融危機時の緊急避難として導入した措置に、頼り続けるわけにはいきません。
インフレ率も、原油高などを受け一層上昇するとの観測が増えています。日本でも、0%前後で安定していたインフレ率は過去のものとなりました。家計には不幸なことです。ここ数年間の世界的な好景気を支えたのは、低インフレによる実質所得・消費の増加だったのです。「低インフレ、超金融緩和、それに伴う株式市場への資金流入」という都合の良い環境は、終わりつつあると覚悟した方がよさそうです。
米国の長期金利がついに3%台へ
そのような変化の象徴が、米国の長期金利と原油価格の上昇です。米10年国債利回りは昨日、4年超ぶりに一時3%台に乗せました(図表1)。米国の原油先物価格は、1バレルあたり70ドルに接近しています。いずれも心理的な節目であり、明確に突破すれば、それ自体がさらなる加速を促しそうです。
ただし利回りが上昇すると、債券投資の魅力が高まります。それは「株式と債券」を軸とした分散投資の幅を広げます。また原油高は、資源輸出に頼る新興諸国などにとっては、良い面もあります。よって景気の拡大に見合った金利水準と原油価格にとどまる限り、過度に警戒する必要は乏しいでしょう。
実体経済は堅調だが・・・
実際には、これだけ多くの環境変化やリスクにもかかわらず、金融市場は悲観一色というほどではありません。例えばNYダウや日経平均株価は、昨年末に比べると2~3%の下落にとどまっています。
これを支えているのが、実体経済は堅調という認識です。たしかに今年の世界経済は、ユーロ圏などで減速の兆しがみられるものの、昨年を上回る成長率が予想されています(図表2)。米国の1-3月期企業決算も、もともと高かった期待を上回るものが目立ちます。とはいえ逆に考えると、実体経済の堅調が確認されても株価が上がりにくいという事実は、やはり相場環境の変化や将来への不安を表わします。
「蚊帳の外」とならないために
市場や国際情勢に不穏な変化が押し寄せる今、もっと素直に喜んでよい変化もあります。すなわち、北朝鮮の姿勢軟化です。少なくとも日本が今すぐミサイルで破壊される可能性は、ほぼなくなりました。
27日の南北首脳会談、6月とみられる米朝首脳会談は、文字通り歴史的なイベントです。留意すべきは、「米国第一」のトランプ大統領が、日本には不都合な形で北朝鮮に譲歩する可能性があることです。
変化を受け入れるのは辛いものです。しかし現実を直視しないと、何事でも「蚊帳の外」でしょう。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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