平昌五輪のメッセージ
オリンピック精神
オリンピック(五輪)憲章がうたう目的の一つは「スポーツを通じた平和の推進」です。いま韓国で開催されている平昌(ピョンチャン)五輪をみると、その精神はまだ生き続けていると感じられます。
特に北朝鮮がこれに参加したのは、昨年の「緊迫」を思えば大きな進歩です。対話の機運も高まりつつあります(まだ不安定な金融市場にとって、明るい材料の一つです)。さらに、日韓関係が難しくなっている中、日本の安倍首相が開会式への出席という英断に踏み切りました。五輪精神に適うことです。
国と国が対立するのはなぜか?
北朝鮮には不純な動機もあるでしょう(米韓の亀裂誘発など)。それでも開会式における韓国との合同入場などは、南北融和への自然な願いを示しています。一方、日韓関係については、友好が突然深まるとはあまり期待できません。とはいえ日韓の選手が健闘をたたえ合ったりするのは、清々しい光景です。
そういった姿をみると、ある国民と別の国民がいがみ合う必要は全くない、ということを思い知らされます。そして、他国の「脅威」なるものに対し疑問を持つはずです。各国の政治家(権力死守のため)や一部メディア(商売上の理由で)が、「敵」への危機感をあおっているだけなのでは?との疑問です。
問題は若年層の反発
ただ、北朝鮮との融和を進めるのは、韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領にとって大きな賭けです。韓国において、北朝鮮との融和、さらには南北統一に対し、若年層では反発する人が少なくないからです。文氏はもともと若い人の人気を集めましたが、その層が離反すれば、支持率低下は避けられません。
南北統一に対し若年層が熱意を欠く背景には、様々なことがあります。例えば、韓国では若年層の失業率が高めです(15~29歳で10%弱)。そのため将来不安が広がる中、財政を用いて北朝鮮を支援する余裕などない、と考えるのは当然かもしれません。よって文氏も、一方的には融和へ突進できません。
韓国経済の現況
ただし、韓国経済を全体的にみれば堅調です(図表1)。輸出に加え消費や投資も伸びているためです。これを受けて昨年11月、6年ぶりの利上げを行いました。株価や韓国ウォンも上昇しました(図表2)。
韓国の輸出依存度は日本よりも高く、かつ、輸出品の多くは日本と競合します。そのため、ウォン高は輸出には逆風です。しかし現在は内需も回復しつつあるため、さほど深刻視されていません。また、韓国企業は半導体などで高いシェアを制しているので、以前ほどにはウォン安に頼る必要はありません。
健全な競争を通じたアジアの発展
しかし輸出増は、大きな貿易黒字先である米国との間で摩擦をもたらしています。米国との関係は、北朝鮮への対処でも足並みが乱れているだけに(米国は圧力重視)、韓国には慎重な対応が求められます。ただ、これらを機に、米国依存からの脱却という点で韓国は日本よりも先を走ることになりそうです。
そうした点も含めて、日韓が自主性を取り戻し、互いに健全な競争を行うことは、アジア全域の平和と経済成長にも資するでしょう。そのような意味で、平昌五輪は一筋の光明を投げかけています。日本としては、平昌五輪の大成功を願い、それをたたえるのが、高邁な五輪精神にふさわしいと言えます。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
※本資料は、ご投資家の皆さまに投資判断の参考となる情報の提供を目的として、しんきんアセットマネジメント投信株式会社が作成した資料であり、投資勧誘を目的として作成したもの、または、金融商品取引法に基づく開示資料ではありません。
※本資料の内容に基づいて取られた行動の結果については、当社は責任を負いません。
※本資料は、信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、当社はその正確性、完全性を保証するものではありません。また、いかなるデータも過去のものであり、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。
※本資料の内容は、当社の見解を示しているに過ぎず、将来の投資成果を保証・示唆するものではありません。記載内容は作成時点のものですので、予告なく変更する場合があります。
※本資料の内容に関する一切の権利は当社にあります。当社の承認無く複製または第三者への開示を行うことを固く禁じます。
※本資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
しんきんアセットマネジメント投信株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商) 第338号
加入協会/一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会