盛り上がりを欠く総選挙
日本とドイツの総選挙
突然、日本の解散・総選挙が日程に上ってきました。しかし、明確な争点を欠く以上、あまり盛り上がらない選挙となりそうです。与党の議席が急減しなければ、金融市場への影響も限られるでしょう。
盛り上がりにくい点では、今月24日にドイツで行われる総選挙(下院に相当する連邦議会の選挙)も、同様かもしれません。ただ、この選挙は党利党略によるのではなく、4年毎という規定に沿った定例選挙です。また、世界的な関心は小さくありません。ドイツの重要な位置づけに鑑みれば、当然です。
期待を背負うのは誰か?
ドイツが注目を集める要因の一つは、アンゲラ・メルケル氏が有する圧倒的な存在感に求められます。
現在の世界を代表する政治家と言えば、米国のトランプ大統領、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平主席、そしてドイツのメルケル首相です。この中で、自由な民主主義を貴ぶ人々の期待を背負えるのは、メルケル首相しかいないでしょう。米国の政治は騒がしいショーとなり、大統領の言葉は軽くなるばかりです。また、ロシアや中国などの政権は、強圧的な傾向を強めています。それだけに、慎重ながらも自信に満ち、柔軟ではあるものの毅然としたメルケル氏の存在は、ひときわ輝いて見えるのです。
メルケル首相の続投は、ほぼ確実
よって総選挙の当初の注目点は、メルケル首相が再選されるか、でした。同首相の率いる与党連合、キリスト教民主同盟(CDU)とその姉妹政党・キリスト教社会同盟(CSU)が勝利するか否かです。
しかしすでに、その勝利はほとんど共通の予想となっています(図表1)。メルケル氏の続投も、間違いなさそうです。現在の経済は堅調と言ってよいため(図表2)、多くの有権者は現状に満足しているのでしょう。ただ、ドイツは比例代表制が軸なので(ただし、小選挙区制を併用)、CDU/CSUだけで過半数を得るのは困難です。現政権も、第二の勢力を持つ社会民主党(SPD)との「大連立」です。
「右か左か」
よって関心は、総選挙を受けてCDU/CSUがどの党と連立を組むのか、という点に移っています。
可能性が高いのは、現行と同じくSPDとの大連立です。CDU/CSUは中道「右派」、SPDは中道「左派」とされますが、政策の根本的相違は見出せません。メルケル氏も、脱原発や移民・難民の受入れ推進といった点では、左派と言えるほどです(もっとも「右か左か」という分類は、教条的な思想を忌避する同氏には、適用できません)。いずれにせよ、大連立が継続となれば、財務相などの主要ポストをどの党が確保するか、といった注目点が残るものの、基本的な政策の継続性は保たれるでしょう。
ドイツの場合は健全
ほかの連立パターンもあり得ますが、過半数を確保するには、三つ以上の勢力による連立が必要となりそうです。例えば「CDU/CSU+自由民主党(FDP)+緑の党(Greens)」という形です。ただ、FDPは企業寄りなので、反原発など社会運動が母体のGreensと協調できるのか、疑問もあります。
ただし、様々な連立が想定されるとはいえ、少なくとも、偏狭な極右勢力が政権入りする可能性はないと言えます。そうした安心感も、ドイツの総選挙が盛り上がりを欠く理由の一つです。すなわち、日本の総選挙が盛り上がらない理由とは異なり、ドイツの場合は極めて健全な事情が背景にあるのです。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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