民主主義は死なず
民主主義の危機?
内外の極右台頭で、民主主義(国民主権、法の支配などを柱とする思想や制度)や世界経済が危機にさらされる可能性は、否定できません。しかし先週からのイベントは、多くの明るい兆候を示しています。
韓国では、右派からリベラルへ
まず10日、韓国で朴氏が大統領職を罷免されました。収賄疑惑などのためです。政治腐敗はこの国の「伝統」ですが、それを正そうという姿勢は評価されるでしょう。韓国で「民主化宣言」が行われたのは、わずか30年前です。それだけに、民主主義は戦って守るべきもの、との思いが強いようです。
朴氏は、強権的なところのあった右派または保守派です。その反動もあり、5月9日の次期大統領選では、リベラル寄り(人権などを重視)の人が選ばれそうです。そして政局の混迷が和らげば、景気の回復も期待できます。韓国経済は順調ではないものの、財政は小幅ながら黒字で、金融緩和も過激というほどではありません。よって財政出動や利下げにより、景気を刺激するのは可能でしょう。
オランダ極右は傍流にすぎない
15日には、オランダで総選挙が行われました。注目の的は極右「自由党」でしたが、最後は失速し、予想よりも票を伸ばせなかった模様です。そもそもオランダは、欧州有数の豊かな国です。反移民感情も一部の地域を除けば強くありません。よって極右が主流になるという懸念は、大げさです。
また、オランダの場合、特定の政党が圧倒的な権力を握るのは難しい多党制です。「民主主義の知恵」と言えるかもしれません。今後数か月間にわたる連立交渉が行われる見込みですが、自由党は異端なので、政権に加わることはないでしょう。オランダでは結局、民主的な政治と堅調な経済が続きそうです。
米国の民主主義も機能
15日にはまた、米国が政策金利を引き上げました。「民主的な措置」と言えるでしょう。あまりに極端な金融緩和を続けても、バブルの生成・崩壊やインフレなどを通じ、結局は生活を苦しめるからです。
16日には、トランプ政権が次年度(今年10月から)の予算方針を示す予定です。ただ、米政治は今、医療保険制度改革の議論(オバマケアからトランプケアへ?)で手一杯です。よって金融市場が待ち焦がれる法人税減税やインフラ投資は、後回しになるでしょう。とはいえ民主主義が志すべきは、市場を喜ばせることでなく、人権や生活を高めることです。医療保険の議論が優先されるのは当然でしょう。
ドイツは民主主義を守護。日本はどうか?
17日には、ドイツのメルケル首相がトランプ氏と初の首脳会談を行う予定です。極右勢力が欧米を揺さぶる中、メルケル氏こそは、リベラルな民主主義の守護者として最も頼りになる人かもしれません。この会談でも同氏は、欧米同盟の重要性を確認するほか、人権や自由貿易の意義にも触れるでしょう。
なお、ドイツの経済は好調ですが、やはり極端な金融緩和策(超低金利など)には批判的です。預金者や年金生活者などが困るからです。一般国民への配慮を怠らないところは、さすが民主国と言えます。
以上のように、海外の民主主義は健在です。そんな中で日本も、政治家の疑惑があれば解明し、また、極端な金融緩和を改めれば(本日の日銀会合では現状維持でしたが)、民主派復権の波に乗れるでしょう。
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