日本の繁栄が続く理由
4期連続のプラス成長を達成
昨年10-12月期、日本の実質国内総生産(GDP)は前期比0.2%増(年率1.0%増)でした。4四半期(つまり1年)連続のプラス成長です。年間ベースでも前年比1.0%増と、小幅な回復を示しました。
昨年後半は、輸出の伸びが寄与しました。背景には、世界的な景気回復基調があります。米国は11四半期連続のプラス成長、ユーロ圏に至っては15四半期連続と、4年近くもプラス成長を続けています。
ただ、アベノミクスが掲げる成長目標は「実質2%」でした。結果はどうだったかと言えば、アベノミクスのもとでの4年間(2013年~2016年)の実績は平均1.1%と、目標の半分程度にとどまりました。
しかし、日本の近い将来を絶望する必要はないでしょう。元気づけられる点がいくつもあるからです。
インフレ率が下がり、消費が回復
第一に、個人消費が回復しました。GDPで一番重要なこの項目は、消費税増税や円安を受け、2014年、2015年に減少が続きました。これが昨年は前年比0.4%増と、ついにプラスに転じました。
主因は、実質賃金(名目賃金からインフレ分を差し引いたもの)の増加でしょう(同0.7%増)。アベノミクスのもとでは初めてですが、円高へ振れたことから輸入価格が下落し、インフレ率が低下したおかげです。もはや、インフレが消費を促すという「リフレ」を、まじめに唱える人はいないでしょう。
問題は、再び過度な円安が進みインフレ率が急上昇しないか、ですが、可能性は低いでしょう。トランプ米大統領との「信頼関係」を裏切る円安誘導(日銀の追加緩和など)は、もう困難になったからです。
トランプ氏は、外交では軌道修正か?
第二に、引き続き中国などアジア新興国の発展が見込めます。日本の景気回復のかなりの部分は、最大の貿易(輸出+輸入)相手である中国のおかげです。12月の中国向け輸出額は、過去最大となりました。
また、トランプ大統領は中国への強硬姿勢を見せていたものの、就任後はトーンダウンしています。先週には中国の習主席との電話会談で、台湾は中国の一部という中国側の主張に敬意を払いました。日米首脳会談後には「(米中関係は)非常に良くなる途上にあり、それは日本にも有益」と正論を述べました。
同大統領は、移民の入国停止などで国内の亀裂を深めています。支持率は下がり、弾劾(罷免)すべきと言う人の割合も約半分へ増えています。そのため、軌道修正が必要と悟ったのでしょうか。
変革よりも安定、尊敬よりも安全を
第三に、米欧が不安定であるのに対し、日本の政治は、相当安定しています。多くの人が、変革よりも現状維持を望んでいるからでしょう。よって現政権は思う存分、権力を振るうことができるでしょう。
先週末の日米首脳会談では、日本流の生き方を世界に披露することができました。人権など理想を掲げて尊敬を得ようとするのでなく、強国との間で事を荒立てるのも避け、当面の安全を確保しようというスタイルです。「他国第一」にも見える日本的姿勢は、西洋流のエゴイズムに一石を投じることでしょう。
これからも日本は、軍事では日米同盟にある程度は頼れそうです。経済ではアジアの発展にあずかれるでしょう。したがって少なくとも今の中高齢層までは、ほどほどの繁栄を享受し続けられるでしょう。
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