トランプ旋風に注目
米大統領選は「クリントンvs.トランプ」か
米国の大統領選が盛り上がってきました。世界そして日本に対しても重要なイベントです。
いま優勢なのは、民主党はヒラリー・クリントン氏、共和党はドナルド・トランプ氏です。11月の本選で両者の対決になった場合、現時点ではクリントン氏が勝利する可能性が高いようです。同氏は政治経験が豊富で、安心感があるからです。その場合、オバマ政権からの劇的な政策変更は少ないでしょう。
ただし、日本の経済・外交上は、重大な帰結を招くかもしれません。たとえば、安倍政権が進める環太平洋経済連携(TPP)に対しクリントン氏は反対の立場です。中国や日本の為替操作にも批判的です。
さらに、夫のビル・クリントン氏が大統領のとき(1993年1月~2001年1月)、「中国重視、日本軽視」の評判を得ました。もちろんヒラリー・クリントン氏も同じとは限りません。ただ、中国の重要性は当時よりもはるかに増しています。よって、日本と組んで中国と対決しようなどとはしないでしょう。
トランプ旋風をどうみるか
しかし、最近の勢いをみると、トランプ大統領が誕生する可能性も否定できなくなりました。
同氏は「アメリカンドリームは死んだ」「米国はもはや偉大ではない」と述べ、多くの米国民の心を捉えています。米国経済は、雇用統計など表面的なデータが示すほどには順調でないということでしょう。
「メキシコとの間に壁を」と叫んで反移民感情に訴える戦略は、社会の分断を招く危険を含んでいます。ただ、皆が思っているのに言えなかったことを言ってくれた、と歓迎する人が少なくありません。
貿易面では「中国からの輸入には高関税をかけて対抗」などと主張しています。日本の円安誘導に対しても厳しく批判しているので、日本の政策当局にとってクリントン氏よりも好ましいとは言えません。
トランプ氏に期待できる部分を挙げるとすれば、共和党の伝統に反し、格差是正に取り組む可能性がある点です。低所得層の支持を多く集めているため、社会福祉の拡充や富裕層への増税に前向きです。
「トランプ大統領」はたしかに不安だが
こうした「資本主義の修正」と言ってもいいような姿勢は、ウォール街(金融業界)に対する厳しい姿勢にも見て取れます。「とんでもない問題を引き起こしてきたウォール街には課税を」といった調子です。
金融政策についても以前、過激なことを述べました。金融危機時に連邦準備制度理事会(FRB)が始めた量的緩和の効果は「いんちき」であり、それに伴う株価上昇はいつか終わるバブルとのことです。
一方、1980年代にインフレを退治すべく当時のFRBが利上げを積極的に行ったのを、高く評価しています。よってトランプ氏が大統領になった場合、FRBの利上げペースを速める一因になり得ます。
そう考えると、トランプ旋風が不安視されるのは無理もありません。ただし、法律や予算をつくるのはあくまで議会であり、条約も議会での同意手続きが求められます。つまり、大統領が好き勝手なことをできるわけではありません。その意味では、誰が大統領になっても極度に恐れる必要はないでしょう。
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