中国の勢いは続く
中国犯人説は誤り
2月上旬、日本株など金融市場が不安定化しました。ここで、確認しておくべきことが二つあります。
第一に、日銀の金融緩和にはあまり期待できないということです。マイナス金利政策(1月29日決定)に至っては、株高・円安を促すどころか、異次元緩和の行きづまりを印象づける効果を発揮しています。
そして第二に、市場の動揺時、中国を安易に犯人扱いするのは見当違いだということです。
というのも、市場の動揺がピークに達したとき、中国はちょうど春節(旧正月)で祝日だったからです(今年の春節は2月7~13日)。この期間中は中国市場も開かれず、重要な経済データなどの発表もわずかでした。よって、中国経済への不信が急に高まって世界を混乱させた、というのは無理があります。
今年も盛り上がった春節
むしろ春節中は、中国の勢いをまざまざと見せつけられました。とりわけ、消費の盛り上がりは相変わらずです。昨年からの中国株急落や人民元の若干の下落は、ほとんど影響を及ぼしていないようです。
実際、春節の1週間、過去最多である600万人もの人が海外旅行を楽しみました。驚異的な人数です。ちなみに日本からの海外旅行者は昨年1年間で1,621万人と、円安などのため3年連続で減りました。
日本側の統計をみると、今年1月、中国からは昨年1月に比べ2倍以上の人が訪日しました。春節中の訪日数はまだ不明ですが、東京や大阪の百貨店では春節中、売上を順調に伸ばしました。国民の消費が一向に増えない日本は、消費や観光、貿易で「中国頼み」に甘んじるしかないのでしょうか。
中国国内でも春節中、小売売上は前年比11.2%増と、2桁の増加率です。また、映画がブームになっているようで、春節中の興行収入は同67%も増えました。そうした娯楽が活況を呈するということは、海外旅行ができるような所得層だけでなく、多様な層に経済発展の恩恵が及びつつあるということです。
再び中国が世界を救うのか
とはいえ、製造業を中心に中国の成長率が鈍っているのは事実です。計画に沿った変化ではあるものの、急激な減速では中国政府も困ります。よって景気を支えようと最近、様々な対策が表れつつあります。
たとえば金融緩和を背景に、1月には新規の人民元建て融資が過去最高額を記録しました。2月には、最初の住宅購入時に要求される最低頭金比率に関し、25%から20%へ引き下げることを可能にしました。さらに、交通やエネルギーなど大規模なインフラ投資を着々と進める旨も発表されました。
これらを好感し、春節明けの中国株は6%ほど上昇しています(2月24日まで)。異次元緩和などアベノミクスの限界が認識されつつある日本とは対照的です。中国の場合、豊かさが増したとはいえ、いまだ発展途上の地方や人々は少なくありません。それは、成長余力や政策余地が大きいことを意味します。
2008年の金融危機後、世界を救ったのは中国でした(4兆元規模の経済対策に伴う高成長などで)。そして今、日米欧が精彩を欠く中、再び中国の政策が世界経済好転の鍵を握っています。26、27日に上海で開かれるG20財務相・中央銀行総裁会議などでも、あらためて中国の存在感が示されるでしょう。
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