欧米取材報告(2)-なぜ米英は強いのか

2015/11/27

米国や英国と言えば、近代以降の世界史を作ってきた新旧覇権国家です。強さの源泉はどこにあるのか。日本はそれを参考にできるのか。そういった問題意識をもちつつ、11月前半、各国を往訪しました。

世論との乖離

米国では来年、大統領選挙が行われます。英国では、再来年末までに欧州連合(EU)残留の是非を問う国民投票が実施される予定です。いずれも、結果次第では世界経済に大きな影響を及ぼすでしょう。

米大統領選挙では、決定的な候補者が不在です。民主党のクリントン氏が優勢ですが、共和党のトランプ氏のような過激な候補者も人気です。また、英国の世論は、親EUと反EUがほぼ拮抗しています。

とはいえ現地金融機関のエコノミストなど「識者」の感覚は、一般的な世論とはかなり異なっているようです。米国の過激な政治的言説については、多くの場合、ポピュリズム(大衆迎合)にすぎない、などと一蹴されます。英国では、EU離脱などは非合理的で馬鹿げた考え、といった見方がもっぱらです。

本当に好景気なのか?

識者と世論との乖離は景気についても言えます。金融機関の人などは米英経済に関し楽観的です。たしかに、米英の実質国内総生産(GDP)成長率は今年・来年とも2%台が見込まれ、日本より高めです。

しかし一般的な感覚として、景気がよいと言う人は多くありません。実際、高い物価、古びたインフラ(交通施設など)、広がる所得格差、などを考えると、米英の平均的な人が特に豊かだとは思えません。

だからこそ、過激な人の台頭(米)、EUからの離脱の動き(英)といった、「識者」には理解しにくいことが起こるのでしょう。「草の根」(一般国民)では政治・経済への不信感が募っているということです。そのため経済データや識者のコメントだけをみていると、実態を見誤ります(日本も同様ですが)。

米英vs.中国

現地でもう一つ実感されるのは、中国の影響力が確実に増していることです。米国では、中国企業による高級ホテルの買収などが話題になっています。英国では、中国との関係強化が連日報道されています。

ただ、中国との付き合い方には苦労しています。米英の強さとは、単なる経済成長ではなく、民主主義や資本主義のルールを作ってきた点です。そのため、「中国流」の台頭には危機感ももたれています。

しかし中国の拡大を脅威と感じつつも、うまく利用・協調するしかない、との実利的で柔軟な考慮が働いています。例えば環太平洋経済連携協定(TPP)について米国は、「中国排除」という発想に執着しているわけではありません。むしろ将来的には中国も取り込みたいと構想しているようです。TPPは自由貿易と知的財産保護が基本なので、米国がルール作りを主導できるとの勝算があるからでしょう。

英国の強さ

英国でも中国に対し、イデオロギー(政治思想)面では様々な思いがあります。それでも、中国との経済関係の強化に関し真っ向から異を唱える人は、今回会った中では皆無でした。

英国は米国や中国に比べると小さな国です。そして、先進的な金融業こそが国力の源泉です。人民元の国際化を支援するのは、金融立国を図る国として当然のことなのでしょう。

翻って日本の場合、英国のような金融立国を真似るのは困難です。しかし思想や歴史を別問題として互いの実利を追求する姿勢、これは中国との関係において参考になりそうです。

 

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