米国経済vs.欧州経済:動揺する西洋中心秩序

2023/01/30 <>

西洋内における違い

世界では現在、米国vs.中国、西洋(米欧)vs.東洋(アジア)、民主主義vs.独裁、などといった単純な対立軸に焦点が当てられます。しかし、米国と欧州との違い、競争、対立にも目を向けねばなりません。

経済の成長軌道や政策に関する姿勢も、米欧は同一ではありません。そうした違いが、足元の株価や為替に表れています。今年の株価は総じて上昇していますが、目立つのは、多くの欧州株指数が米国株(特にNYダウ)を上回る実績を示していることです(図表1)。為替では、ユーロが米ドルに対し堅調です。

欧州の景況感が改善

今年、米国は一時的なリセッション(景気後退)に陥る、との懸念が金融市場では強く残っています。一方、欧州、特にユーロ圏では、リセッションを避けることができそうだという期待が増えているのです。

米欧の経済見通しは逆転した、と言えるでしょう。昨年は、ウクライナ戦争で最も大きな打撃を受けるのはロシア産資源に頼る欧州、との見方が広がりました。しかし今、欧州のエネルギー危機は、ひとまず和らいでいます。それらを背景として、ユーロ圏の景況感は、米国を上回る改善を見せています(図表2)。

天然ガス価格が下落

欧州の天然ガス価格は昨年夏まで、戦争で高騰しました。しかし足元、暖冬などのため戦争勃発前よりも安くなっています。かつドイツなどの工業はエネルギー効率を高め、ガス不足への耐性を強めています。

他方、米国景気が低迷しているのは、昨年春からの利上げの影響が、住宅投資や個人消費などで顕在化しているためです。また、米国はコロナウイルスをめぐる最悪期(2020~21年)に、欧州よりも大規模な所得補助などを実施しました。そうした景気支援策の効果が薄れていることも、米景気低迷の一因です。

今年後半には再逆転?

ただ、欧州景気の回復、米国景気の低迷が今後も続く、とは言い切れません。ユーロ圏では、米国よりも利上げ開始が遅れました。それだけに、ユーロ圏の利上げ局面は米国よりも長引く可能性があります。

米国では利上げ幅が縮小しており、今年春頃には利上げが停止すると予想されます。これに対しユーロ圏では、今年夏頃まで利上げが続く可能性が高そうです。通常、利上げの影響は数か月の時間を経て実際の経済活動に表れるので、今年後半には、米国の景況感がユーロ圏の景況感を再逆転するかもしれません。

西洋中心秩序の行方

そのように景気循環局面の違いから米欧の景況感が逆転、そして再逆転するのは、自然であり悪いことではありません。ユーロとドルの相対価値(ユーロドル相場)も、上がったり下がったりするでしょう。

もっと危惧すべきは、環境問題や通商政策での米欧間の相違です。気候変動対策では、米国よりも欧州の方が積極的です。通商面では、保護主義(自国産製品を税制面などで優遇)を強める米国の政策姿勢に対し、欧州はかなり批判的です。こうした米欧の歩調の乱れは、西洋中心的な世界秩序の動揺を表します。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/topics/

 

 

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