来週の金融市場見通し(2024年5月13日~2024年5月17日)

■来週の見通し

1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でパウエル議長が利上げの可能性は高くないと発言して金融緩和に前向きなハト派的と受け止められたほか、米雇用統計が市場予想を下回ったことなどから、利下げ期待がじりじりと強まってきています。他方、日銀が公表した 4 月の会合の「主な意見」では、当面は緩和的な金融環境継続が妥当との声がある一方、利上げのタイミングの前倒しを検討する考えも示されました。来週は佳境を迎えている企業決算に加え、米消費者物価指数(CPI)なども確認したいところです。

◆株価 : 決算好調でも上値が重い展開か

トヨタ自動車の通期決算で 23 年度の営業利益がはじめて 5 兆円を超えるなど国内企業の決算は堅調ですが、すでに市場はある程度織り込んでおり、株価への影響は限定的でした。来週は、ソフトバンクグループなど主要企業決算が予定されていますが、市場予想を大きく上回る内容でなければ、上値の重い展開となりそうです。また、日銀が金融政策正常化に前向きな姿勢を示しており、国内金利の上昇や円高進行により株価を圧迫する恐れがあります。

◆長期金利 :一進一退

10 年国債入札が弱めだったことに加え、日銀金融政策決定会合(4月開催)の「主な意見」が、早期の追加利上げや国債買入れの減額を意識させるタカ派的な内容だったことから、市場の想定より利上げ時期が早まる可能性などが意識され、長期金利は上昇する動きになりました。もっとも、米国では利下げ期待が再燃しており、米金利とともに国内金利の上昇も限定的となりそうです。5年国債、20 年国債入札も確認したいところです。

◆為替:底堅い

ドル円は、底堅い地合いが続きそうです。米国では堅調な景気やインフレ率の高止まりを背景に、利下げ開始は早くとも9月以降とみられ、現行政策を長期に渡り維持する可能性が高まっています。それを受け、日米の実質金利差は引き続きドル買い要因となりそうです。日銀による2度のドル売り介入があったとみられる中、ドル円の上値は限定的とみられますが、再度の介入を警戒しながらも底堅い地合いは変わらず、上値を模索する可能性があります。

◆Jリート :上値を探る

植田日銀総裁が物価見通し次第で利上げタイミングの前倒しを検討する考えを示したことや、毎月分配型投信の決算対応の換金売りなどにより下落しました。FOMCで利下げの後ずれが示唆されたものの、追加利上げに消極的な姿勢が示されたことは安心材料です。中東情勢の緊迫化や国内金利の上昇は重しとなるものの、割安感に着目した底堅い買いも期待されることから下値も限定的で、徐々に上値を探る展開を見込んでいます。

来週の注目点

GDP統計(24/1-3月期) 5月16日(木)8時50分発表

実質国内総生産 (GDP)は、昨年 10-12 月期に前期比年率 0.4%増と、2 四半期ぶりにプラス成長になりました。自動車や半導体関連の生産体制強化のための設備投資が、実質GDPを押し上げました。

1-3 月期の実質 GDPは、自動車検査工程の不正の影響による設備投資の減少や、インフレによる個人消費の低迷が見込まれることからマイナス成長に転じそうです。今後も、物価高は個人消費の重しとなる可能性がありますが、省力化投資やデジタル関連投資が設備投資を支え、当面穏やかな GDP成長が継続しそうです。

米消費者物価指数(4月) 5月15日(水) 21時30分発表

3 月の米消費者物価指数(CPI)は総合で前年比 3.5%の上昇となり、前月より伸びが加速しました。また、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIは同 3.8%の上昇と前月並みの伸びとなりましたが、市場予想を上回りました。

米連邦準備理事会(FRB)による利上げなどを受け、米インフレは基調としては低下傾向にあるとみられるものの、高止まりの状況です。底堅い米労働市場などを背景に、今後のインフレ低下も遅々として進まない可能性があります。4 月は総合で前年比 3.4%程度、コアは同 3.6%程度の伸びを想定しています。

 

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