米国株のリスク:それでもまだ上昇するのか?
米企業決算は依然好調
米国株の上昇トレンドは、終わっていないようです。9月には一時急落し投資家を焦らせましたが、10月以降には華麗な復活をとげ、11月5日、S&P500など主要指数は過去最高値をまた更新したのです。
足元の株高は、米企業の好業績に支えられています。実際、これまでに発表された米国の第3四半期(7-9月期)企業利益は、約8割が市場予想を上回っています。増益率は前年比約39%が見込まれ、今年前半からは鈍化したとはいえ、依然として非常に高い水準です(S&P500構成企業、11月5日時点、図表1)。
インフレは脅威なのか?
金融市場では今、インフレ、サプライチェーン(供給網)の混乱、感染症不安、金融引締め観測など、様々なリスクが意識されています。にもかかわらず米企業の好業績が示されているのは、心強い限りです。
インフレについては、原材料高などを販売価格に転嫁することで、飲食業などを含む米国の多くの企業は、利益を確保しています。それが可能なのは、人々の消費意欲が旺盛だからです。値上げは一層のインフレをもたらしますが、堅調な消費がインフレの一因である以上、完全に悪性のインフレとは言えません。
供給網の混乱は改善へ
ただ、国際的なサプライチェーンの混乱に伴う原料・部品不足については、今般の決算発表でも多数の米企業が懸念を示しています。特に半導体の不足が、自動車や携帯電話の生産に悪影響を及ぼしています。
もっとも、サプライチェーン問題は、最悪期を越えつつあるように見えます。その大きな理由は、ベトナムやマレーシアなどで、コロナウイルスの感染者が今年夏と比べ減少していることから、電子部品工場などの操業再開が相次いでいることです(ただし今後、感染が再拡大する恐れもあるため、油断は禁物)。
引締め懸念も克服可能
金融引締めをめぐる米連邦準備理事会(FRB)の動きについても、注意深く見守る必要があります。昨年春以降、米国株などが大幅に上昇したのは、FRBの金融緩和によるところが極めて大きいからです。
とはいえ金融市場では、適度の政策変更が織り込み済みです。事実、11月3日にFRBが、案の定、テーパリング(国債購入などの減額)を決定しましたが、市場の反応は限定的でした。来年後半に開始とみられる利上げについても、好景気に伴う緩やかなペースである限り、市場は冷静に受け入れるはずです。
テクノロジー株は堅調
金融引締めが意識されるにつれ、米10年国債利回りは今年、上昇しています。それでも足元1.4%台と、歴史的に見ると低水準です。景気や物価の過熱は一時的だと、市場参加者は信じているからでしょう。
これは特に、長期の成長期待で買われてきたテクノロジー株にとり重要です。そして低金利などを背景に、それらの株価は堅調を維持しています(図表2)。最近の様々なリスクは極端に恐れるべきものでない、との筆者の見方も踏まえると、米国の株価は、テクノロジー株を中心に上昇基調が続く、と予想されます。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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