21世紀の人権宣言:世界の就業者、喜ぶべし!

2021/09/21

雇用情勢は大幅改善

生きようとすれば、普通の人は働かねばなりません。よって、世界がコロナウイルスに苦しむ中、心身の健康の次に心配されたのは、雇用への影響です。しかし、この試練を受け、明るい傾向も生じています。

昨年、世界中で雇用情勢が一旦悪化しました。それでも、主要国の街に失業者があふれかえるといった、大恐慌のような事態にはなりませんでした。そして現在、主要国の失業率は、大幅に低下しています(図表1)。感染拡大前の水準にはまだ戻っていませんが、これほどまでに急速な回復は、喜ぶべき誤算です。

格差是正が進むのか

雇用回復が鮮明なのは、特に米国です。8月の雇用統計では、就業者数の伸びは鈍化したものの、平均賃金の大幅増が示されました。特に外食や宿泊といった業種で賃金増が顕著なのは、実に明るい動きです。

米国では昨年、それらの業種が、ロックダウン(営業や外出などの制限)で大きな打撃を受けました。しかし今年は、営業の再開、活発化を受け、そうした業種では、むしろ人手不足が目立っています。このことが就業者の立場を高め、賃金交渉力を強めているのです。これは、格差是正に資するかもしれません。

政府の使命を再認識

米国の家計は、政府の施策にも支えられています。昨年来、失業者への追加給付策などが、大々的に導入されたのです。国民生活を支える、という政治の使命が今般の危機によって再認識された、と言えます。

欧州でも、政府が就業者を支援しています。ただし、一時的な失業急増を容認した米国とは異なり、欧州主要国の場合、政府が賃金を補助し、失業増を抑制しています。そのような相違があるものの、政府の役割が増大した点は、欧米に共通しています。欧米の良い意味での社会主義化であり、明るい傾向です。

悪しき慣行を変える

一方、日本は、もともと社会主義的です。よって、業績の不振を口実にした解雇は、欧州以上に困難です。そのため緊急事態宣言下でも、外食・旅行関連などを除くと、雇用情勢はそれほど悪化していません。

ただし、日本式慣行は、明るい方向への変化を促されています。感染症危機を受けて、リモートワークや時差出勤への移行など、働き方の激変が生じつつあるのです。これは、会社への封建的忠誠、無駄な会議、半強制参加の宴会、人間の尊厳を壊す満員電車での通勤など、数々の悪弊を正すことにつながります。

もっと高貴な労働へ

米国の就業者も、リモートワークの利点を実感しています(図表2)。そうした人々の声を、企業も尊重せざるを得ません。そのため、コロナウイルス危機の一服後も、新しい勤務形態が世界で定着しそうです。

そうなれば、仕事と育児の両立など、明るい動きも進むでしょう。また先述のとおり、今般の危機を受け、米国で就業者の立場が向上し、欧米で政府の使命が再認識されています。ゆえに、多くの人にとって苦行だった労働は、もっと人権に配慮したものに変わりそうです。だとすれば、皆、大いに喜ぶべきです。

図表入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/newest_report/contents_type=8&type=topics

 

 

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