東方の光:それは日本か、それとも中国か?
日本の栄光、そして停滞
日本は、このままでは、異例な国として世界史に記されるでしょう。30~40年ほど前、米国を慌てさせるほどの勢いがあった日本経済は、今や停滞の象徴なのです(図表1)。歴史上、珍しいほどの転落です。
経済以外でも、日本の劣化が露見しています。特にコロナウイルスへの対処では、ワクチン接種の手際の悪さなどが、国民をいら立たせています。また、疫学の専門家らの警告を軽視し、五輪へ突進しています(ほぼ無観客になりそうですが)。「仕事が丁寧」「科学立国」といった日本の評判は、地に落ちました。
その夢、中国が引き継ぐ
約30年前の日本では、この東方の国が世界の中心になる、という「預言」すら聞かれました。今となっては、昔日の感に堪えません。しかし、東洋は永遠に西洋の後塵を拝する、とは、決して言えません。
なぜなら、東洋の大国、中国が、本領を発揮しつつあるからです。すでに経済、科学、軍事におけるその勢いは、米国などの保守派をパニックに陥れています。しかも中国は、自国の体制に関し、頑固なプライドを持っています。この点が、西洋式民主制を表面的に模倣した戦後日本との、極めて大きな違いです。
中国包囲網は可能なのか?
それだけに、米国にとって現在の中国は、かつての日本とは比較にならないほど、手ごわいライバルです。そのため米国の現政権は、欧州、さらには日本などをも巻き込んで、中国に対抗しようとしています。
しかし「中国包囲網」が成功する公算は、大きくありません。ドイツやフランス、日本などの政府は、強硬姿勢をとることに対し、慎重であるからです。自動車やブランド品を扱う欧州や日本の企業にとって、中国は重要な市場です(図表2)。よって欧州や日本は、対中政策の面で、米国とは距離を置くでしょう。
欧米の間にも大きな差異
欧州が米国への追従をためらうことについては、ほかの理由もあります。欧州は、約80年前の第2次世界大戦で、壊滅的な打撃を受けました。一方、米国の被害は、特に本土では、大きくありませんでした。
大戦の対立軸は、「民主主義(米英など)vs全体主義(独伊日など)」というものでした。米国の現政権が掲げるのも、「民主制(米欧日など)vs専制(中露など)」という、似た構図です。しかし、そうした単純な図式は、世界の分断を深めます。大戦の記憶がまだ残る欧州では、その危険が警戒されているのです。
望まれるのは東西の均衡
そういった欧州諸国の警戒感、および経済のグローバル化により、世界の完全な分断という事態は、幸いにも避けられそうです。ただし、「米国vs中国」というライバル関係は、今後10年間は続くでしょう。
これは、必ずしも悪いことではありません。一つの国が圧倒的な覇権を握ると、おごりが生じ、自国式の思想や体制を他国に押しつけます。そのような横暴を防ぐには、米国と同等以上の経済力を持ち、東西の間に均衡を生む東洋の国が、是非とも必要です。そうした国になり得るのは、日本ではなく、中国です。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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