台湾モデルvs日本モデル:なぜ大差がついたのか?
コロナウイルスによる死者の数で大きな差
「日本モデルの力」は幻影でした。5月、コロナウイルス第1波を抑えたように見えた日本ですが、より大きな波が来た現在、途方に暮れているのです。一方、正真正銘の成功例が「台湾モデル」です。
台湾では、このウイルスによる死者数が現在7人です。人口が2,400万人弱と日本の約5分の1である点を考慮しても、驚異的な実績です(日本国内の死者数は12月13日時点で2,601人)。経済も正常化に近づき、今年の国内総生産(GDP)は、昨年を上回りそうです(日本のGDPは大幅減の見込み)。
台湾は緩やかなロックダウンで感染を抑止
コロナウイルスの感染抑止に関しては、台湾以外にも、中国、ニュージーランド、ベトナムなどが高く評価されます。ただし、それらの国々と比べても、台湾は、感染抑止の手段において際立っています。
つまり台湾は、ロックダウン(様々な活動制限)を最小限にとどめつつ、感染を制御したのです。外出や営業の「自粛要請」などからなる日本モデルと比べても、台湾の活動制限は緩やかでした(図表1)。このため景気の減速は一時的で(図表2)、また、人々のストレスも、さほど溜まらなかった模様です。
台湾モデル成功の鍵は速やかな決断と対策
台湾モデルの特徴は、対応の素早さです。中国で新型肺炎発生の噂が出た昨年末、台湾の衛生当局は、即座に警戒態勢に入ったのです。そして入国制限や、感染が疑われる人の隔離を、迅速に行いました。
隔離とは、台湾居住者の場合、家族や飼い犬を含む2週間の自宅待機です。その遵守を当局が管理するにあたっては、隔離対象者が保有するスマートフォンの位置情報も用いられました。プライバシーの問題が無いとは言えないものの、生命維持という他者の人権を守る上では、必要な措置かもしれません。
過去の経験および経済構造も台湾に有利に
台湾の対応には、過去の経験も生かされています。2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)で、台湾は73人の死者を出しました。それを受け、感染対策の手順がすでに整備されていたのです。
経済面でも、台湾の強みが発揮されました。電子機器産業が優れているため、世界のオンライン化で、パソコンなど台湾製品への需要が増えたのです。かつ、輸出先のうち中国・香港が約4割を占める点も、効を奏しました。中国の景気が先駆けて回復したので、台湾から中国への輸出が極めて堅調なのです。
日本モデルの限界を謙虚に認め台湾に学ぶ
中国側も、半導体供給などで台湾に頼っています。よって、中台の緊密な経済関係は、引き続き維持されるでしょう。ウイルス対応が示す決断力や技術力を見ても、台湾経済の未来は明るい、と言えます。
日本の場合、感染が爆発的に広がる現在、台湾式のきめ細かい隔離策などは、もはや困難かもしれません。それでも「感染抑止で最も効果的なのは、迅速で果敢な対応」との教訓を、台湾モデルの成功から学ぶべきです。「GoTo」でも迷走する優柔不断な日本モデルでは、コロナウイルスに打ち勝てません。
図表入りのレポートはこちら
https://www.skam.co.jp/report_column/topics/
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